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F－１５．「冠形詞形語尾（連体形）」を整理する。

＜これだけは＞冠形詞形語尾（連体形）とは

　日本語で「連体形」というものを、韓国語では「관형사형（冠形詞形）」と呼びます。日本語の連体形とは、「『体言（名詞）』に連なる形」を意味し、動詞・形容詞が名詞を飾る（修飾する）ときの形を言います。例えば、

　　動詞：私が　読んでいる　本　←　「本」に「読んでいる」という動詞がくっついて飾られることによって、「ただの本ではなく、『読んでいる本だ』」になる。

　形容詞：とても　おもしろい　本←　「本」に「おもしろい」という形容詞がくっついて飾られることによって、「ただの本ではなく、『おもしろい本だ」」になる。

という具合です。

　日本語では他にも、「読んだ本」（過去）のように過去形にして、読んだことがあることを示せたり、「おもしろかった本」（過去）というように、「過去読んでいておもしろかったなあと思い出している」ことを示すことができます。大きく分けて動詞も形容詞も「現在～である〇〇」「過去～だった〇〇」という表現が可能です。さらに、「弁護士である伯父」「弁護士だった伯父」のように、「名詞である〇〇」（現在）、「名詞だった〇〇」といった、名詞の連体形というのもあります。

　一方、韓国語ではどうでしょうか。韓国語も名詞の「現在～である〇〇」「過去～だった〇〇」ということが示せます。また、動詞・形容詞も日本語同じように現在と過去の連体形があります。なんと、それ以外にも「未来～これからしようとしている〇〇」という言い方もできます。これら全て形が異なり、名詞・動詞・形容詞でも異なった形になります。

　しかし、韓国語は「思い出話」をするとき「回想」という特殊な文法を使うので、「過去」なのか「回想」なのか曖昧になる場合があります。ここでは、曖昧になる「名詞」と「形容詞」の過去連体形を全て「回想」一つにまとめて数えます。

　それぞれの冠形詞形（連体形）にするために付く語尾は次のようになります。

これらの詳しい解説は、別ページに用意していますので、クリックしてご覧ください。

　この冠形詞形（連体形）語尾で注意したいのは、「을」「는」「은」という形が出てくることです。助詞の「은/는（～は）」「을（～を）」と形が一緒なので、助詞と勘違いしてしまう人もいるかもしれませんが、あくまでもこれらは「冠形詞形（連体形）」の語尾です。ですから、語尾の前の形を見たり、聞いたりしたときに、「動詞だな」とか「名詞だな」という判断ができなければなりません。

　つまり、冠形詞形（連体形）は、「名詞、動詞、形容詞」といった単語をある数量安定して覚えている人が使えるというわけです。ちょっとしか単語を知らない人がこの形を聞いて理解したり、読んで理解するということはできないと思います。ですので、この形を使いたいという人は、ある程度の量、単語を覚えてから学んでください。

＜さらに＞未来連体形＝意志の表れ

　日本語は未来連体形と現在連体形があいまいで区別できません。

  　・明日「食べる」料理

　　・今日「食べる」料理

　　・今「食べる」料理

　　・普段「食べる」料理

　食べる時が、「明日」であろうと、「今日」であろうと、「今」であろうと、「食べる」の形は変わりません。「明日」は未来のはずなのにです。過去なら、「食べた」料理と形が変わります。つまり、日本語には「未来連体形」とか、「現在連体形」という区別がありません。「普段」という習慣を表している場合でも同じです。過去以外は形が変わりません。

　一方韓国語では、「明日、今日、今」という区別というよりも、「食べようという意志がはっきりしている場合か」、「今食べて」いたり、「今食べているわけではないけど、継続的に習慣的にしているか」で形が変わってきます。前者が、「これから～する」という意志が表れているわけですから「未来連体形」になり、後者は「今まさにしている」または「習慣的にいつも～している」ということで「現在連体形」になります。

　これから食べようと思っているなら「明日、今日、今」に限らず、全て未来連体形、いつも食べているなら現在連体形となります。

・（これからしようと思っている）　내일 먹을 요리 ←明日食べようと思っている。

                                  지금 먹을 요기 ←まだ食べていない。今から食べる。

・（今まさにしている）　　　　　　지금 먹는 요리 ← 今まさに食べている最中

・（今はしていないけど、いつもしている）← 평소에 먹는 요리（いつも食べている料理）

未来連体は「しようとする意志があるか」を基準に使われ、現在連体は「今していること」および「いつもしていること」を基準に使われます。

＜もっと詳しく＞動詞の過去連体形と形容詞の現在連体形がなぜ同じ形なのか？

　連体形を勉強していると、「動詞の過去連体形」と「形容詞の現在連体形」が同じ形をしていて、こんがらがることがあります。根本的に、動詞と形容詞の性質が違うので、同じようには活用しないと解釈すればいいのですが、なかなか納得できないのではないでしょうか。

　動詞の過去連体形　パッチム有　내가 먹은 것 （私が食べたもの）

　　　　　　　　　　パッチム無  내가 산 것（私が買ったもの）

　形容詞の現在連体形　パッチム有　 키가 작은 사람（背が低い人）

           　　　　　　パッチム無  유명한 사람（有名な人）

　どちらも、確かにパッチム有は「은」、パッチム無は「ㄴ」がくっついています。形容詞の「現在」連体形がなぜ、動詞の「過去」連体形と同じなのか気になりますよね。

　実はこれ、考えようによっては、「形容詞の現在連体形」は、「過去」と考えられなくもないんです。

　なぜなら、形容詞というのは、色、形、性格、様子などを表す言葉です。ということは、動詞のように、動いて変化するものではく、「すでに変化して性質が定着している」と考えられます。「赤い」は、「赤くなった→だから赤い状態が続いている」わけですし、「有名な人」だって、「有名になった→だから有名な状態が続いている」、「背が低い」も同様に、「低くなった」のは、「あの人背が低いね」という言葉が発せられる前にはすでに低いわけです。

　そう考えると、形容詞は、「背が低い人」「有名な人」と現在で解釈できたとしても、それは「すでにその状態になっているのだから過去のことだ」と考えることができます。

　つまり、形容詞の現在連体形は「すでに過去のこと」なわけです。そうすると、動詞の過去連体形と形が一致するのも納得できます。名詞の「弁護士である伯父」の場合も同様に、「弁護士になった→だから伯父は弁護士」なわけで、名詞の現在連体形も「すでに過去のこと」を表していると考えられます。

　厳密に言うと、現在連体形は、「動詞」にだけ適応できると言えます。

　それでは、名詞や形容詞の過去連体形は全て、「現在」と解釈されてしまうのであれば、「有名だった人」とか、「弁護士だった伯父」はどうすればいいかといいと、全て「回想」＝思い出話しにすればいいということです。

　しかし、動詞は、「過去連体形」も「回想連体形」も両方あるかという問題が残ります。これには諸説ありますが、

　・그날 먹은 요리（あの日食べた料理）

　・그날 먹었던 요리（あの日食べた料理）

（１）は、「食べた事実を感情を入れずに言う」場合、（２）は、「あの日あの料理を食べたよなー。おいしかったなー。」と感情を入れて言う場合とでことなります。（１）はとにかく事実だけを述べるという感じです。日本語にすると一緒ですが、感情の入れ方が異なるというわけです。

　そう考えと、形容詞も、

　（３）예쁜 꽃（きれいな花だった）

　（４）예뻤던 꽃（きれいだった花）

　（３）は事実として「今まさにきれいな状態」であることを述べているのに対し、（４）は「きれいだったなー」と感情を入れていっているという点で異なるともいえるわけです。韓国語でも、日本語訳でも（３）「現在」と（４）「過去」で時制は異なるのは当然ですが、「던」が「感情」を担っていると考えると、その違いが整理できるのではないでしょうか。