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E－44．「 形容詞の未来連体形」を整理する。

＜これだけは＞形容詞の未来連体形とは～「推測」を するかどうか

　「『未来』連体形」というと、どうしても未来時制のように捉えてしまいますが、韓国語の形容詞の未来連体形というのは、「現状は〇〇かもしれないけど、今後は変化する可能性があるかも」という「推測」や「推量」を表します。ですから、「推測」や「推量」を表す文法と一緒に使われるのが特徴です。

・을 수 있다（～な可能性があります）：좋을 수 있다.（良いかもしれません）

・을 거예요（～でしょう）：좋을 거예요.（良いでしょう）

・을까요?（～でしょうか）：좋을까요?（良いでしょうか？）

・을 것 같아요（～だと思います）：좋을 것 같아요.（良いと思います）

・을 듯해요（～なようです）：좋을 듯해요.（良いと思います）

・을지도 몰라요（～かもしれません）：좋을지도 몰라요.（良いかもしれません）

以上のような語尾と一緒に使われることが多いので」「未来連体形」単独で形を作る練習はせずに、「形容詞+文法」で覚えましょう。形容詞の未来連体形の作り方は、「パッチムがある形容詞」 は「다」をとって「을」を付け、「パッチムがない形容詞」は、「다」をとって「ㄹ」 パッチムをつけます。

「ㄹパッチム」を持つ形容詞に関しては、「다」を取った形のままにします。

※「있다（ある）／없다（ない）」および、「있다／없다」が付く、「맛있다/맛없다」「재미있다/재미없다」などは、 現在連体形の時、動詞のように変化しました（詳しくは、「Ｅ－４３．形容詞の現在連体形について整理する」をご覧ください）。

　未来連体形においては、「パッチムありの形容詞」と同様の変化をします。

＜さらに＞

変則活用　

　形容詞の未来連体形は、「으면体」と同じように「ㅂ変則」「ㅅ変則」「ㅎ変則」が変則活用をします。「으면体」の変則については、「Ｅ－３６．パッチムありの動詞の으면体（ㅂ変則）を整理する」「Ｅ－３８．パッチムありの動詞の으면体（ㅅ変則）を整理する」 「Ｅ－３９．パッチム有りの形容詞の(으)면体（ㅎ変則）を整理する」を参考にしてください。

　変則の詳しい変化は省略し、ここでは一覧表で提示します。

「未来連体形と現在連体形のどちらも使える文法」

　次の文法は、形容詞の未来連体形も現在連体形どちらとも使うことができます。

　・形容詞の連体形　+　것 같아요（～だと思います）：나쁜 것 같아요.（悪いと思います） 나쁠 것 같아요.（悪いと思います）

　この場合日本語訳は一緒になり、違いがはっきり出てきませんが、微妙な意味の違いがあります。現在連体形を使った場合は、「現状が確定した状況についての判断」であり、未来連体形を使った場合は、「現状でははっきり断定できないが、今現在の判断においてはそうだ」という違いです。

  Ａ：저 사람에 대해 어떻게 생각해요?（あの人についてどう思いますか？）

　Ｂ：나쁜 것 같아요.（悪いと思います）

　Ｂ’：나쁠 것 같아요.（悪いと思います）

　「あの人についてどう思いますか」と問われたのにたいして、Ｂでは、現在連体形を使っています。現在連体形は、「現状が確定した状況についての判断」ですから、「나쁜 것 같아요（悪いと思います）」というからには、何かしらの根拠を持っての発言ということになります。ニュースで犯罪を犯しということを聴いたとか、実際に被害を被ったことがあるとか、とにかく「나쁜 것 같아요（悪いと思います）」という根拠を持っているわけです。一方で、Ｂ’は、未来連体形「나쁠 것 같아요.（悪いと思います）」なので、「現状でははっきり断定できないが、今現在の判断においてはそうだ」という推測でものを言っていることになります。「悪い人だ」という感想はもっているけど、それなりの根拠は持ち得ていないわけです。例えば、「悪い」という判断を見た目だけでしているとか、もしかしたら今後の状況によっては判断が覆って「いい人」に思える可能性もあるとか、とにかくまだ断定はしかねるという発言なわけです。

　どちらも自身が思ったことを述べているので、現在連体形か未来連体形かを気にしすぎる必要はありませんが、意味の違いがあるということだけは覚えておいてください。

＜もっと詳しく＞

　確定した事実では未来連体形が使えない

　　以下の文を見てください。

　×　한 사이즈 작을 옷을 찾고 있어요(ひとつサイズが小さい服を探しています。）　　

　×　넓을 방에서 살고 싶어요.（広い部屋で暮らしたいです。）

　×　저것보다 쌀 가격이면 좋겠다（あれより安い価格だといいなあ。）　

　×　클 가방을 메고 다니다.（大きな鞄を背負って通う。）　

　×　멀 거리를 걸어왔다.(遠い距離を歩いてきた。)　

　以上の文は、形容詞の未来連体形が使えない例です。なぜかと言えば、「小さい服」「広い部屋」「安い価格」「大きな鞄」「遠い距離」というのは、「今現在の状態」について言及しているからです。「これから小さくなるかも」「これから広くなるかも」「これから安くなるかも」という変化を期待しているわけではなく、「現状が確定した物」について、「今～している」「～した」「ほしいな」「暮らしたいな」ということを述べています。

　このように「現状が確定した状況についての判断」の場合は、現在連体形を使います。

　〇　한 사이즈 작은 옷을 찾고 있어요(ひとつサイズが小さい服を 探しています。）　

　〇　넓은 방에서 살고 싶어요.（広い部屋で暮らしたいです。）　

　〇　저것보다 싼 가격이면 좋겠다（あれより安い価格 だといいなあ。）

　〇　큰 가방을 메고 다니다.（大きな鞄を背負って通う。） 　

　〇　먼 거리를 걸어왔다.(遠い距離を歩いてきた。)　

推量ではない未来連体形

 しかし、「現状が確定した状況で現在連体形を使う」という説明だと矛盾してしまう文法があります。

　・내가 어릴 때는 놀기만 했어.（わたしが小さい時は遊んでばかりいた。）

　・내가 어렸을 때는 놀기만 했어.（わたしが小さかった時は遊んでばかりいた。）

どちら文も、「わたしの幼少期」という確定した時期について述べているので、形容詞の現在連体形「ㄴ/은」が使われそうですが、ここでは未来連体形「ㄹ/을」が使われています。

　ここからはわたし（武村）の憶測になりますが、「ㄹ/을 때」（～する時）という文法表現は、「～の場合」「～であれば」という仮定を話をしているのであって、「現状が確定した状況」について言及しているのではないため、形容詞の現在連体形「ㄴ/은」が使われないのではいかと思われます。

　学術的に認められた話ではないので、あくまで仮説の範囲ですが、「ㄹ/을 때」（～する時）における未来連体形「을」は、「推論」とはまた違い、仮定や想像の話をする時（「時と場合」の話をする時）、「現状でははっきり断定できないが、今現在の判断においてはそうだ」と同じ使われ方をしているという味方もできるということです。

　だから、はっきりとした断定に使う「ㄴ/은」も使えないというわけです。さらに、仮の話しをしているので、形容詞の場合時制についても曖昧になり、「어릴 때」「어렸을 때」のどちらも「幼少期」という意味で使うことができるのです。

　ですから未来連体形は形だけで単独で考えるのではなく、文脈の中で意味を考える必要があります。「未来時制」とか、「連体形」 といったことを意識せずに、かたまりとして覚えてしまった方が楽かもしれません。