Ｄ－28．「하다動詞」と「하다形容詞」について整理する
＜これだけは＞
（１） 「하다動詞」
韓国語を始めたてのころは、「하다」＝「する」と覚えることが多いと思います。しかし、この「하다」には多様な意味があって、小学館の「朝鮮語辞典」を引くと約2ページにわたって意味がびっしり書いてあります。
＜小学館「朝鮮語辞典」p.1868-1870の例＞
| 動詞の意味（一部） |
| １．する、・・・と思う／・・・という ２．（ご飯を）炊く、（歌を）歌う、（お酒を）飲む、（店を）営む ３．（装飾品などを身に）つける ４．（表情を）する、（態度を）とる ５．（値段が）する などなど |
初級では、「1番の意味」をよく使うと思います。
「する」としての使い方：저는 한국어를 공부합니다.（私は韓国語を勉強します。）
「・・・と思う」としての使い方：저는 내년에 한국에 가려고 합니다.(私は来年韓国に行こうと思います。)
「・・・という」としての使い方：저는 김철수라고 합니다.(私はキム・チョルスと言います。)
初級でさえ「하다」＝「する」と覚えてしまうと、支障をきたす文がたくさん出てくるわけです。ですから、「『하다』＝『する』ではない」という考え方は、初級からしっかりもって いてほしいと思います。
しかしながら、「する」に対応する「하다」は、日本語と同じように「名詞+する」という使い方ができて、使い勝手が良いものです。
名詞 + 하다（する）
・공부（勉強）+ 하다（する） ＝공부하다（勉強する）
・독서（読書）+ 하다（する） ＝독서하다（読書する）
・유학（留学）+ 하다（する） ＝유학하다（留学する）
・생활（生活）+ 하다（する） ＝생활하다（生活する）
この場合は、名詞+하다の形で「一単語」とカウントするので、名詞と하다は離して書きません。くっつけて書きます。
×공부 하다 〇공부하다（勉強する）／공부합니다（勉強します）／공부해요（勉強します）
×독서 하다 〇독서하다（読書する）／독서합니다（読書します）／독서해요（読書します）
×유학 하다 〇유학하다（留学する）／유학합니다（留学します）／유학해요（留学します）
×생활 하다 〇생활하다（生活する）／생활합니다（生活します）／생활해요（生活します）
日本語と同じように「勉強『を』する」というように、助詞「を（을/를）」を入れて文を作れるので、この場合は助詞の後ろを離して書きます。
・공부를 하다（勉強をする） 공부를 합니다（勉強をします）／공부를 해요（勉強をします）
・독서를 하다（読書をする） 독서를 합니다（読書をします）／독서를 해요（読書をします）
・유학을 하다（留学をする） 유학을 합니다（留学をします）／유학을 해요(留学します）
・생활을 하다（生活をする） 생활을 합니다（生活をします）／생활을 해요（生活をします）
（２）漢語名詞と「하다形容詞」
動詞としての「하다」にはいろんな意味があって、初級を苦しめますが、もう一つ初級を苦しめる要因があります。
それは、「하다」が付く「形容詞」の存在です。これを「하다形容詞」と呼んでいます。
日本語の「する」は動詞なので、当然形容詞ではありません。しかし、韓国語には日本語に訳すことが不可能な「하다」がつく形容詞があります。
|
漢語名詞がついて形容詞になるパターン |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
漢字の後ろに「하다」がついているので、「有名する」「健康する」「可能する」「完全する」と訳したくなりますが、
日本語がおかしくなります。
このような「하다」の部分が「だ」になってしまう物を、筆者は、「漢語名詞がつく하다形容詞」と呼んでいます（決まった専門用語ではありません）。
「하다」を「だ」に訳するのもおかしな行動なので、この「하다」は、「日本語に訳せる」と思わないほうが良いでしょう。
「漢語名詞につく하다形容詞」をよく見ると、「有名だ」「健康だ」「可能だ」「完全だ」という日本語では、「形容動詞（ナ形容詞）」に分類されるものが多く見られます。一見名詞のような感じもしますが、これらは、「形容詞」です。なぜなら、連体形として活用する場合、日本語で「～な」の形をとるからです。
・有名な場所
・健康な人
・可能なこと
・完全なもの
もし、これらが名詞であれば「～の」となるはずですが、日本語が不自然になります。
×有名の場所
×健康の人
×可能のこと
×完全のもの
とにかく、この説明を読んでも、日本語自体が「名詞なのか」「形容動詞（ナ形容詞）なのか」の区別ができない場合、
韓国語での分類が非常に難しくなります。
ここでは皆さんが、「日本語でも名詞と形容詞の分類ができる」という前提で話を進めていきます。
「漢語名詞につく하다形容詞」は、「形容詞」なので、形容詞の活用をします。もう一度言います、「形容詞の活用」をします。名詞の活用ではありません。
名詞の活用と形容詞の活用の仕方を再度確認しておきますが、
名詞の「～です」の形は、「입니다」か「이에요/예요」付けて表現しました。
・저는 학생입니다.（わたしは学生です。）
・저는 학생이에요.（わたしは学生です。）
・저는 가수입니다.（わたしは歌手です。）
・저는 가수예요.（わたしは歌手です。）
形容詞の「～です」の形は、「ㅂ니다/습니다」か「해요体」で表現しました。
・제 여자 친구는 예쁩니다.（わたしの彼女はきれいです。）
・제 여자 친구는 예뻐요.（わたしの彼女はきれいです。）
・제 남자 친구는 멋있습니다.（わたしの彼氏はかっこいいです。）
・제 남자 친구는 멋있어요.（わたしの彼氏はかっこいいです。）
「漢語名詞につく하다形容詞」も「形容詞」なので、「形容詞と同じ活用」をします。
つまり、「～です」の形は、「ㅂ니다/습니다」か「해요体」で表現します。
・「유명하다(有名だ)」유명합니다（有名です。）유명해요（有名です。）
・「건강하다(健康だ)」건강합니다（健康です。）건강해요（健康です。）
・「가능하다(可能だ)」가능합니다（可能です。）가능해요（可能です。）
・「완전하다(完全だ)」완전합니다（完全です。）완전해요（完全です。）
よく、「× 유명입니다」「× 유명이에요」のようにしてしまう人がいますが、これは間違いです。
※文脈によっては、「유명（有名）」を名詞として使うこともあるので、「유명입니다」の形になることもありますが、「形容詞」として使う場合は、間違いです。
「漢語名詞」以外にも「外来語」が同じようなふるまいをします。
・「쿨하다(クールだ)」쿨합니다（クールです。）쿨해요（クールです。）
・「리얼하다(リアルだ)」리얼합니다（リアルです。）리얼해요（リアルです。）
日本語でも、「× クールの人 〇クールな人」「×リアルの話 〇リアルな話」という活用ができるので、
韓国語でも「쿨하다（クールだ）」「리얼하다（リアルだ）」は、形容詞と同じ活用をします。
（３）固有語の名詞がつく「하다形容詞」
「하다形容詞」はもう一種類あります。「固有語の名詞がつく形容詞」です。
|
固有語の名詞がついて形容詞になるパターン |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
「漢語名詞につく하다形容詞」同様、これらも「形容詞」なので、「形容詞と同じ活用」をします。
つまり、「～です」の形は、「ㅂ니다/습니다」か「해요体」で表現します。
・「따뜻하다(暖かい)」따뜻합니다（暖かいです。）따뜻해요（暖かいです。）
・「조용하다(静かだ)」조용합니다（静かです。）조용해요（静かです。）
・「착하다(善良だ)」착합니다（善良です。）착해요（善良です。）
・「시원하다(涼しい)」시원합니다（涼しいです。）시원해요（涼しいです。）
＜さらに＞
（１）「하다動詞の現在連体形」の活用
動詞の後ろに名詞が来るような場合、日本語では、
動詞 + 名詞 ＝動詞の現在連体形+名詞
・する + こと ＝すること
・ソウルという+ 都市 ＝ソウルという都市
・留学しようと思っている + 人 ＝留学しようと思っている人
というような活用の仕方をします。赤字の部分を「連体形（名詞＝体言に連なる形）」と日本語では呼んでいます。
韓国語の動詞の現在連体形は、辞書形から「-다」をとって、パッチムの有無関係なく「는」を付けて形を作ります。
ですから、「하다動詞」は全て、「하는」という形をとります。
動詞 + 名詞 ＝動詞の現在連体形+名詞
・하다（する） + 일（こと） ＝하는 일（すること）
・서울이라고 하다（ソウルという）+ 도시（都市） ＝서울이라고 하는 도시（ソウルという都市）
・유학하려고 하다（留学しようと思っている） + 사람（人） ＝ 유학하려고 하는 사람（留学しようと思っている人）
※動詞の現在連体形の詳しい説明は、「E-41.動詞の連体形（現在）を整理する」をご覧ください。
（２）「하다形容詞の現在連体形」の活用
形容詞の後ろに名詞が来るような場合、日本語では、
形容詞 + 名詞 ＝形容詞の現在連体形+名詞
・広い + 心 ＝広い心
・大きい+ 手 ＝大きい手
・有名だ + 場所 ＝有名な場所
・健康だ + 人 ＝健康な人
・可能だ + こと ＝可能なこと
・完全だ + もの ＝完全なもの
・暖かい + 心 ＝暖かい心
・善良だ + 人 ＝善良な人
というような活用の仕方をします。赤字の部分を「連体形（名詞＝体言に連なる形）」と日本語では呼んでいます。
韓国語の形容詞の現在連体形は、辞書形から「-다」をとって、パッチムがあれば「은」、パッチムがなければ「ㄴ」を付けて形を作ります。
形容詞 + 名詞 ＝ 形容詞の現在連体形+名詞
パッチム有：넓다（広い） + 마음（心） ＝넓은 마음（広い心）
パッチム無：크다（大きい）+ 손（手） ＝큰 손（大きい手）
この活用の仕方は、「하다形容詞」でも一緒です。ただし、「하다形容詞」の場合、全部パッチムなしの「하다」なので、
全てが同じ活用のしかたをします。つまり、「한～」という形をとります。
形容詞 + 名詞 ＝ 形容詞の現在連体形+名詞
・유명하다（有名だ） +곳（場所） ＝유명한 곳（有名な場所）
・건강하다（健康だ） +사람（人） ＝건강한 사람（健康な人）
・가능하다（可能だ） +일（こと） ＝가능한 일（可能なこと）
・완전하다（完全だ） +것（もの） ＝완전한 것（完全なもの）
・따뜻하다（暖かい） +마음（心） ＝따뜻한 마음（暖かい心）
・착하다（善良だ） +사람（人） ＝착한 사람（善良な人）
＜もっと詳しく＞
「하다形容詞の副詞形」
韓国語の形容詞は、日本語と同じく、副詞形にすることができます。（副詞とは、「文全体」、「動詞」を修飾する品詞のことです）
日本語では、形容詞の副詞形は、
形容詞 ＝＞ 形容詞の副詞形
・善良だ ＝＞ 善良に 暮らす
・完全だ ＝＞ 完全に 壊す
・涼しい ＝＞ 涼しく する
のように、「に」か「く」のどちらかを使います。
韓国語も同じように、副詞形には2種類あって、「히」または「이」か、「게」を付けます。しかし、この2パターンは、2パターンとも変えられる形容詞もあれば、
「게」どちらか一方しか変えることのできない形容詞があって、少し複雑です。全て「하다」なので、パッチムの有無は関係ありませんし、「漢語」か「固有語」かという区別では分けられない性質があります。これは、各単語毎に覚えるしか方法がありません。
「게」のみパターン
・착하다（善良だ） ＝＞ 착하게（善良に） 살다（暮らす）
・약하다（弱い） ＝＞ 약하게（弱く） 밀다（押す）
「게」も「히」も使えるパターン
・완전하다(完全だ) ＝＞ 완전하게/완전히 (完全に) 깨뜨리다(壊す）
・시원하다（涼しい/気持ちいい） ＝＞시원하게/시원히（気持ちよく） 마시다（飲む）
「게」も「히」も使えると見せかけて、「히」の時は、「이」と音が変わってしまうパターン
・깨끗하다(きれいだ) ＝＞ 깨끗하게/깨끗이(きれいに) 닦다(拭く）
めやすとして、上の表に副詞形につく語尾を提示しておきました。参考にして覚えるようにしてください。