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F－１1．「終結語尾」について整理する

＜これだけは＞　①連結語尾・②冠形詞形語尾・③先語末語尾・④終結語尾

　韓国語で「語尾」と言われるものは、４種類あります。 語尾というのは、動詞・形容詞にくっ付けて、「～です」とか、「～だけど」など、単語の接着剤を担い、単語の羅列を文に変身させる要素です。「韓国語の文法を学ぶ」というのは、この「４種類語尾に何があるか。４種類の語尾に動詞・形容詞をくっつけるとき、動詞・形容詞はどのように変化させるのか。」を学ぶことにほかなりません。

　ここでは、語尾を学ぶ上で、「４種類の語尾に何があるのか」を考えます。「動詞・形容詞はどのように変化させるのか」は活用の項目で詳しく説明します。

　４種類の語尾を考えるうえで、４つの分類してみましょう。

　　　비싸지만 맛있는 음식을 먹-었-습니다.

  　　　 （高いけど　美味しい　食べ物を　食べまし　た）

　①ピンクの「지만（けど）」のように、本来「비싸다 高い（食べ物を食べました）」＋「맛있다 美味しい（食べ物を食べました）」という二つの文をくっつける接着剤の役割をするものを「連結語尾」といいます。ほかに「(으)니까　～だから」「-고 （～てから）」「아/어도　～ても」などの語尾があります。

　②緑のように「食べ物」という名詞を「美味しい」という形容詞で飾る（修飾する）ための語尾を「冠形詞形語尾」と呼びます。 形容詞だけでなく、動詞が名詞を飾ることもあります。一般に「連体形」と呼ばれる形に変える語尾です。現在、過去、未来および動詞、形容詞によってもそれぞれ形が異なります。

　③赤で示された「過去」を表す語尾を「先語末語尾」と言います。一番最後に来る「 終結語尾（この文の場合は습니다）」より先行する語尾で、「先語末語尾」です。語末語尾より先行するものは他にも、意志や推量を表す「-겠」、尊敬を表す「-시」などが代表的です。

　④青で示された文を終わらせる最後の語尾を「 終結語尾」と呼びます。文を終わらせるということなので、最後にくる「ㅂ니다」であったり、ため口の「아/어」であったり、やわかい丁寧な「아요/어요」がそれにあたります。

　①Ｆ－１３．連結語尾、②Ｆ－１５．冠形詞形語尾（連体形語尾）、③Ｆ－１２．先語末語尾についての詳しい説明は、各ページを設けています。今回は、「終結語尾を取り上げます。他の語尾は、それぞれのページを参考してください。

　　それと、以上４つの語尾に加えて、「～できる」「～したい」「～しなければならない」という「表現文法」も学ばなければいけません。これら表現文法も無数にあるので、他のページで詳しく説明します。

「終結語尾～韓国語学習歴＝語尾を学んだ時点から数える」

　上で説明したように、一番最後に来る語尾 のことを「終結語尾」といいます。代表的ななものは습니다体と呼ばれる「ㅂ니다/습니다」と、해요体と呼ばれる「아요/어요」があります。

　まず、「韓国語を話す」「韓国語で書く」という行為は、この「ㅂ니다/습니다」、「아요/어요」という語尾を使えなければはじまりません。「韓国語の勉強をいつから始めましたか？」という問いは、「いつから語尾の勉強を始めましたか？」とほぼ同義だと私は思っています。確かに、単語を暗記するとか、一言フレーズを覚えるというのも韓国語の勉強ですが、それは厳密に言うと、円周率を丸暗記するのと同じように「ただ暗記すること」であって、語学とか、言語の学びとは言えないと思います。あくまでも、韓国語であれば、「語尾」を学ばないと、それは「韓国語の勉強/学び」とは言えないと思います。

　特に今回説明する終結語尾は、「文を終わらせる役割」をします。この終結語尾がないと会話や文が完結しません。つまり、覚えた単語を並べて、せっかく文らしいものをつくれても、語尾が欠けると相手に意図が正確に伝わらないということです。相手に誤解を与えないためにも関らず覚えておきたい語尾です。

　 終結語尾は、「平叙文（肯定文）」「疑問文」「勧誘文」「命令文」のような文の種類を区分する役割を担当します （だから、これが欠けると相手に意図が伝わらないわけです。また、聞き手に対する尊敬の投球を表示する機能があります。これは文の主語を高める先語末語尾「(으)시」とは異なり （詳しくはＦ－１２．先語末語尾）、あくまでも「聞き手に敬意を表す」という特徴があります(参考：이익섭, 이상억, 채완著、梅田博之監修、前田真彦翻訳「韓国語概論」大修館書店,183ページ より)。

「聞き手への敬意に着目した語尾のまとめ方」

野間秀樹「待遇表現と待遇法を考えるために」『韓国語教育論講座第2巻』(2012:545)によると、「待遇表現」とは、「発話者が受話者をいかに遇するかの言語的な表れ」だそうです。そして、ソウルことばの会話体の待遇法を次のように体系化しています。

ここでは便宜上「하다（する）」という動詞が終結語尾とくっついた状態で提示します。ほかの動詞や形容詞とくっついた時の場合は、詳しい動詞・形容詞の活用を参考してください。

　 少し複雑な表に見えますが、左から右に移るごとに聞き手への経緯が薄れます。また、同じ敬意がある平叙法であっても、「格式がマイナス」の「해요」、「格式がプラス」の「합니다」というように、丁寧度が異なります。 どちらも日本語では「します」となるので、日本語にはない現象といえます（つまり、この違いは日本語では訳せない）。誰にどのような言葉遣いをするかというのは、関係性で決まりますので、「関係性と語尾を関連させて」で覚えて いくしかありません（「해요」と「합니다」の詳しい説明はこちら）。

　一般的に早い段階で覚える「해요体」ですが、赤字で示した通り4か所に出現しています。勧誘と命令では 敬意は少し落ちますが、同じ形で「平叙文」「疑問文」「勧誘文」「命令文」に使えるという点で便利です。いろいろ覚えるのが大変だという人は最低でも해요体だけは覚えましょう。「해요」から「요」をとったため口（パンマル ：青字の「해」）も一つの形でいろいろ使えるので、友達との会話では便利です。

　左から二番目と三番目の列は、過去形（았/었）にできるか、推量の形（겠）を付けられるかをプラスとマイナスで表示しています。「해요（します）」は過去形にできる（했어요：しました）けれども、「할게요：します」は過去にできないという意味です。過去形や推量の語尾は「先語末語尾」といいますが、詳しくは「Ｆ－１２．先語末語尾」をご覧ください。

＜さらに＞注意点しなければいけない中称形「ㅂ시다」 と、命令の「하세요/하십시오」

　ところで、緑で示した中称形は、敬意体と非敬意体の中間にあたる表現です。丁寧ではあるけれど、目上の人に使いにくい表現となっています。「합시다（しましょう）」というのは、教科書ではよく勧誘の文法で扱われるのですが、「演説で大衆に向けて呼びかける」「ポスターで新入部員を誘う」とか「環境保護を訴える」などの時は使えても、目上の人に口頭で使うことが難しい表現です。

　もし、目上の人に「行きましょう」と言いたいときは。

　　・선생님, 얼른 가시죠.（先生、早く行きましょう）

　　・같이 가시겠습니까?（一緒に行かれますか？）

　という表現を使った方が無難です。

　あと、目上に言いにくいと言えば「命令」があります。いくら丁寧であっても、目上の人に命令するということはまずありえません。言えるとしたら、案内として「こちらにいらっしゃってください」「すみませんが、手を消毒してください」というような時です。あとは、アドバイスをする場面ですね。

ですから、もし、「하십시오（してください）」、「하세요（してください）」という表現を使うのであれば、次のような場面になります。

　Ａ：손님 여기서 손을 소독하십시오.（お客様、ここで手を消毒してください。）

　Ｂ：네 알겠습니다.（はい、わかりました。）

　Ａ：요즘 잠이 잘 안 와.（最近よく眠れないんだよね）

　Ｂ：그러면 규칙적으로 운동하세요. 운동하면 잠이 잘 와요. （それじゃ、規則的に運動してください。運動すればよく眠れますよ。）

　ただ、アドバイスであてっても目上の人に対して「-하는 게 어떠세요?（～するのはどうですか？）」「-하는 게 좋지 않아요?（～したほうがいいんじゃないですか？）」という提案表現を使ったほうが無難なので、「하십시오」「하세요」「は、従業員として客を案内したり、目下の人に対して教える立場の時に使うようにしましょう。

　つまり、終結語尾で聞き手に対して敬意を表すことが可能ではありますが、限界もあるので、表現自体を工夫しなければならないということです。

＜もっと詳しく＞６体系待遇法～語尾に着目したまとめ方

　上の表を、より語尾形に着目してまとめると次のようになります。下へ行くほど敬意が低くなります。例文には動詞として먹다（食べる）、작다（小さい）を使用しました。

　赤字でしめしたものが、会話でよく使われる語尾です。その他の語尾は現代語ではあまり使われなくなっています。

　※ㅂ시다の勧誘は、目上に対して あまり使用しない。目上を勧誘するのであれば「-시지요」を使う。

　※（ ）で示したものは「ハングル能力検定試験の等級」の出題範囲

ここで提示した終結語尾の名前は「합쇼体」「해요体」「하오体」「하게体」「반말」「해라体」の６つです。順に経緯が下がると言われていますが、「〇〇体」を一定に保って話すというよりも、同じ聞き手に対して、いろいろな「〇〇体」を組み合わせて使われます。

　また、「하오体」「하게体（赤字を除く）」は、目上から目下の人へ、敬意を持ちつつ親しみを込めた言葉遣いをしたいときに使いますが、「ある程度の年齢」にならないと使えないと言われています。２０代の人が１０代に向けて使うと、「おやじくさい」と思われる可能性があります。

「합쇼体」は「습니다体」「합니다体」とも呼ばれます。また、「해라体」は書き言葉に使われることから、「書き言葉体」だったり、「하다」が平叙文で「한다」となることから「한다体」と呼ばれたりもします。

※その他に、軍隊でしようされる「다나까体」というのもあります。軍隊で「합니『다』」「하『나』?」「합니『까』?」という言葉のやり取りが多くつかわれることが由来ですが、厳密には文法体系には含まれていません。