F－１２．「先語末語尾」について整理する
＜これだけは＞
①連結語尾・②冠形詞形語尾・③先語末語尾・④終結語尾
韓国語で「語尾」と言われるものは、４種類あります。 語尾というのは、動詞・形容詞にくっ付けて、「～です」とか、「～だけど」など、単語の接着剤を担い、単語の羅列を文に変身させる要素です。「韓国語の文法を学ぶ」というのは、この「４種類語尾に何があるか。４種類の語尾に動詞・形容詞をくっつけるとき、動詞・形容詞はどのように変化させるのか。」を学ぶことにほかなりません。
ここでは、語尾を学ぶ上で、「４種類の語尾に何があるのか」を考えます。「動詞・形容詞はどのように変化させるのか」は活用の項目で詳しく説明します。
４種類の語尾を考えるうえで、４つの分類してみましょう。
비싸지만 맛있는 음식을 먹-었-습니다.
（高いけど 美味しい 食べ物を 食べまし た）
①ピンクの「지만（けど）」のように、本来「비싸다 高い（食べ物を食べました）」＋「맛있다 美味しい（食べ物を食べました）」という二つの文をくっつける接着剤の役割をするものを「連結語尾」といいます。ほかに「(으)니까 ～だから」「-고 （～てから）」「아/어도 ～ても」などの語尾があります。
②緑のように「食べ物」という名詞を「美味しい」という形容詞で飾る（修飾する）ための語尾を「冠形詞形語尾」と呼びます。 形容詞だけでなく、動詞が名詞を飾ることもあります。一般に「連体形」と呼ばれる形に変える語尾です。現在、過去、未来および動詞、形容詞によってもそれぞれ形が異なります。
③赤で示された「過去」を表す語尾を「先語末語尾」と言います。一番最後に来る「 終結語尾（この文の場合は습니다）」より先行する語尾で、「先語末語尾」です。語末語尾より先行するものは他にも、意志や推量を表す「-겠」、尊敬を表す「-시」などが代表的です。
④青で示された文を終わらせる最後の語尾を「 終結語尾」と呼びます。文を終わらせるということなので、最後にくる「ㅂ니다」であったり、ため口の「아/어」であったり、やわかい丁寧な「아요/어요」がそれにあたります。
①Ｆ－１３．連結語尾、②Ｆ－１５．冠形詞形語尾（連体形語尾）、④Ｆ－１１． 終結語尾についての詳しい説明は、各ページを設けています。今回は、「先語末語尾を取り上げます。他の語尾は、それぞれのページを参考してください。
それと、以上４つの語尾に加えて、「～できる」「～したい」「～しなければならない」という「表現文法」も学ばなければいけません。これら表現文法も無数にあるので、他のページで詳しく説明します。
「先語末語尾～過去、主語の尊敬、意志・推量」
上で説明したように、一番最後に来る 「終結語尾」に先行する語尾を「先語末語尾」といいます。代表的なものとして、過去の「았/었」、 主語の尊敬の「-시」、意志・推量の「-겠」が挙げられます。 主語の尊敬の「(으)시」は、聞き手への敬意というわけではなく、文の中に登場する人物の動作を高めるために使用されます。聞き手への敬意は、④Ｆ－１ １．終結語尾で表されます。
これら先語末語尾は、終結語尾の前について、
| ㅂ니다/습니다 | 아요/어요 | |
| 았/었（過去） | 먹-었-습니다＝먹었습니다（食べました） | 먹-었-어요＝먹었어요（食べました） |
| -(으)시（尊敬） | 잘하-시-ㅂ니다＝잘하십니다 （上手いです） | 잘하-시-어요＝잘하세요 （上手いです） |
| -겠（意志・推量） | 가-겠-습니다＝가겠습니다（行きます） | 가-겠-어요＝가겠어요（行きます） |
という表現にすることができます。先語末語尾は終結語尾に先行してくっつき、先語末語尾そのものでは文章を形成することはできません。
× 먹었.
× 잘하시.
× 가겠.
どのような文でも、最後はしっかりと終結語尾をつけます。 他にも次のような例があります。
| 네요（ますね/ですね） | 나요?/(으)ㄴ가요?（ますか？/ですか？） | |
| 았/었（過去） | 먹-었-네요＝먹었네요（食べましたね） | 먹-었-나요?（食べましたか？） |
| -(으)시（尊敬） | 잘하-시-네요＝하시네요（上手いですね） | 하-시-나요?＝잘하시나요?（上手いですか？） |
| -겠（意志・推量） | 이제 가-겠-네요（もう行くんですね） | 어떻게 가-겠-나요?（どうやって行くんですか？） |
＜さらに＞先語末語尾同士はくっつけられる
先語末語尾は、二つ以上重ねることができます。ただし、重ね方には決まりがあります。
| 았/었（過去） | -시（尊敬） | -겠（意志・推量） | |
| 았/었（過去） | 았/었+았/었 어제 친구가 놀러 왔었다.（昨日友達が遊びに来ていた） 二重過去（大過去）といい 「～していた」というニュアンスが強くなる。 |
× | 았/었+겠 맛있었겠어요.（それはおいしかったでしょうね） 過去のことについて推量し、「それはさぞかし、～だっただろう/～だったでしょう」というニュアンスになる。
|
| -시（尊敬） | -(으)시+았/었 尊敬の過去形は「(으)시었」ですが、縮約形「(으)셨」を会話でも書き言葉でも使い、 잘하셨어요（よくできました） 읽으셨어요?（読まれましたか？） という表現になる。 |
× | -(으)시+겠 같이 가시겠어요？（一緒に行かれますか？） 좋으시겠어요.（いいですね） 敬語を使用しつつ相手の意志を尋ねたり、敬語で相手の気持ちを察する時に使う。 |
| -겠（意志・推量） | -겠+았/었 못 먹겠었어요（食べられませんでした） 「～しようとした」というように、「その時はそうしようとする意志があった」というニュアンスになる。 ※ただし、現代語では非文とする場合もある。 |
× | × |
順序としては、尊敬「(으)시」は、どの先語末語尾よりも先行します。
この組み合わせの他に、尊敬「(으)시」+過去「았/었」+意志・推量「-겠」の三つが 順につき、
피곤하셨겠(시었겠)어요.（お疲れになったでしょうね）。
という表現も可能です。
＜もっと詳しく＞その他の先語末語尾
先語末語尾には、このほかに「-더, -느, -니, -(으)리, -것-」などがあります。用法としては終結語尾「-라」「-냐」「-다」などと一緒に使われます。
（ ）はハングル能力検定試験の等級を表しています。
・하더라(?)（準2級）：～するようだったよ、したんだっけ？
・하느냐（準2級）：動詞・存在詞+～するのか、～するのかね
・하느니라/하더니라 ： ～するべし、～である ※現代語ではほぼ使われない。
・하것다/하렷다(하리엇다) (2級) ：～なのだね、～であるものだ ※現代語ではほぼ使われない。