・くちはあいているか。
・舌先は下の歯または下の歯茎についているか。
・舌の後側が口腔図の赤い点で示された位置あたりにくっついているか。
・口や鼻から息が漏れていないか。
・くちはあいているか。
・舌先が口腔図の赤い点で示された位置あたり（上の歯または、上の歯茎）についているか。
・舌の後側に空間ができているか。
・口や鼻から息が漏れていないか。
・くちは閉じているか（口腔図のように上下閉じているか）
・舌は口を閉じた状態で自然に口の中で納まっているか。
・口や鼻から息が漏れていないか。
Ｃ－６．【パッチム】７つの代表音のパッチムを整理し、発音のポイントを言葉で書く。
＜これだけは＞
「パッチムの音は７つ」
パッチムとは、
| ㅂ | ㅏ |
|
ㅂ |
|
| ㅅ |
| ㅜ |
| ㄹ |
のように、子音字と母音字の組み合わせた文字のさらに下につける、赤で示された「子音」のことでした。
子音字はＢ－３で整理した通り、
| 平音（韓国語：예사소리/평음） ４個 | ㄱ ㄷ ㅂ ㅈ |
| 激音（韓国語：거센소리/격음） ６個 | ㅋ ㅌ ㅍ ㅊ (ㅅ) (ㅎ) |
| 濃音（韓国語：된소리/경음/농음） ５個 | ㄲ ㄸ ㅃ ㅉ ㅆ |
| 鼻音（韓国語：비음） 3個 | ㄴ ㅁ ㅇ |
| 流音（韓国語：유음） １個 | ㄹ |
１９個の発音がありました。ハングルは子音と母音の組み合わせなので、パッチムもすべて組み合わせられるような気になってしまいますが、書き表せられるパッチムの文字はまた別に覚える必要があります。
確かにパッチムの文字としては、 국（スープ） 잎（葉） 떡볶이（トッポッキ）など、いろいろ書けるのですが、 「ㄸ」や「ㅃ」「ㅉ」パッチムというのがありません。書き表せられる文字、書き表せられない文字の詳しい種類については、Ｃ－ ７．二重パッチムで整理することにし、今回は、「パッチムの音」だけに注目してみたいと思います。
ところで、パッチムは「いろいろな文字」で書き表せられるのですが、文字が多いわりに、「発音する音」が限定されています。上の平音、激音を例に考えてみます。
약（薬） 부엌（台所） 닦다（磨く）
산（山）
곧（すぐに） 곁（側・そば） 무엇（何） 곶（岬） 꽃（花）
물（水）
봄（春）
입（口） 앞（前）
공항（空港）
など、いろんな文字でパッチムを書き表すことができます。もちろんこれで全部ではないので、全ての詳しい情報はＣ－７をみてください。
ここでは、ㄱ, ㅋ, ㄷ, ㅌ, ㅅ, ㅈ, ㅊ, ㅂ, ㅍという字がパッチムで使われています。でも、これすべて別々の発音で読むわけではないのです。子音字は母音とくっつけるとそれぞれの音で発音するので、１９個の子音があったら、１９種類のパッチムがあるだろと思ってしまうかもしれませんが、実は７つに集約できます。どんなにたくさんパッチムの文字でも、結局は「７つ」の音の内どれかに該当します。
では、どうやって７つに振り分けるのか。この時は、平音、激音、濃音の区別はしません。Ｂ－３で説明した「鼻音」「流音」による区別と、「調音点ルール」を使います。簡単にまとめると、鼻音は、鼻から息を出す音だから「鼻音」、流音は、舌の両側面から息が流れ音だから「流音」、調音点ルールは、「唇を使う発音」「舌先を使う発音」「舌の後ろ部分を使う発音」の３つに大き く分ける分け方でした。詳しくはＢ－２、Ｂ－３を 見るといいと思いますが、難しく感じる人は、表を見て対応関係を覚えてください。
| 調音点ルール | 代表音 | 文字として現れるパッチムの種類 |
| 舌の後ろ部分を使う発音 | ㄱ | ㄱ ㅋ ㄲ |
| 舌先を使う発音 | ㄷ | ㄷ ㅌ ㅅ ㅆ ㅈ ㅊ (ㅎ) |
| 唇を使う発音 | ㅂ | ㅂ ㅍ |
| 鼻音 | 代表音 | 文字として現れるパッチムの種類 |
| 舌の後ろ部分を使う発音＋鼻音 | ㅇ | ㅇ |
| 舌先を使う発音＋鼻音 | ㄴ | ㄴ |
| 唇を使う発音＋鼻音 | ㅁ | ㅁ |
| 流音 | 代表音 | 文字として現れるパッチムの種類 |
| 舌先を使う＋流音 | ㄹ | ㄹ |
文字の種類はこれがすべてではありませんが（詳しくはＣ－７）、１９個の子音を分けてみると上のようになります。
「代表音」というのは、文字として、부엌（台所）のように「ㅋ」パッチムのように「ㄲ」パッチムで書き表しても、「ㄱ」パッチムで発音しますよ、ということです。ちょっと厄介なのは、代表音「ㄷ」で
곧（すぐに） 곁（側・そば） 무엇（何） 있다(ある) 곶（岬） 꽃（花）
のすべてのパッチムの発音は、「ㄷ」になります。このように代表音と文字との対応が複雑なものもあるので、パッチムはどんな音で読むのかをしっかり覚える必要があります。理想としては、下のように、＜書き表す文字＞と、[発音通りの文字]両方とも書き表せるように練習するのがいいのですが、どうしても覚えられないという人は、文字に注目せず、CDなどを活用して、「単語の意味と発音をつなぎ合わせて」音で覚えてしまいましょう。
＜약＞（薬）⇒ [약] ＜부엌＞（台所）⇒ [부억]
＜산＞（山）⇒ [산]
＜곧＞（すぐに）⇒ [곧] ＜곁＞（側・そば）⇒ [겯] ＜무엇＞（何）⇒ [무얻] ＜있다＞（ある）⇒ [읻따] ＜곶＞（岬）⇒ [곧] ＜꽃＞（花）⇒ [꼳]
＜물＞（水）⇒ [물]
＜봄＞（春）⇒ [봄]
＜입＞（口）⇒ [입] 앞（前）⇒ [압]
공항（空港）⇒ [공항]
「代表音ㄷの中の『ㅎ』だけは独特」
代表音「ㄷ」の中に含まれる「ㅎ」パッチムは、単独の単語の中には現れません。
つまり「햏」みたいな文字はないということです。
動詞や形容詞の活用で
그렇습니다（そうです）[그럳씀니다]
좋습니다（良いです）[졷씀니다]
놓습니다（置きます）[녿씀니다]
という形で現れます。しかし、問題は、代表音は「ㄷ」なのだけれど、「ㄷ」で読む 場面と言うのがそんなに多くないということです。
ただ、「ㅎ」パッチムの代表音が「ㄷ」だというのは、「Ｃ－１９．鼻音化」の時に便利な知識なので、しっかり覚えておきましょう。
また、少し複雑になりますが、「Ｃ－２２．[激音化]動詞・形容詞の語幹パッチム「ㅎ」の後ろに「ㄷ、ㅈ、ㄱ」が来る場合の激音化」というものも起こります。
＜さらに＞
「パッチム代表音の発音」
パッチムの発音が難しいという人もいると思います 。確かに難しいです。しかし、「７つしかない」と思えれば、７種類を聞き分ける／発音し分けるだけでいんだと思えると思います。上で話した、「鼻音」「流音」調音点ルールさえ押さえれば、結構楽になります。あと、代表音「ㄷ」の中に含まれる「ㅎ」パッチムは、 しっかり「ㄷ」パッチムで発音できれば、後々学ぶことになる「鼻音化」が楽にできるようになりす。
（１）「息を出さないパッチム」の調音点のポイント
| 調音点ルール | 代表音 | 発音のチェックポイント | 口腔図 |
| 舌の後ろ部分を使う発音 | ㄱ | ☆「まっか」の「か（ka）」の母音「a」を発音しないで止める感じ。 ・くちはあいているか。 ・舌先は下の歯または下の歯茎についているか。 ・舌の後側が口腔図の赤い点で示された位置あたりにくっついているか。 ・口や鼻から息が漏れていないか。
|
|
| 舌先を使う発音 | ㄷ | ☆「まった」の「た（ta」」の母音「a」を発音しないで止める感じ。 ・くちはあいているか。 ・舌先が口腔図の赤い点で示された位置あたり（上の歯または、上の歯茎）についているか。 ・舌の後側に空間ができているか。 ・口や鼻から息が漏れていないか。 |
|
| 唇を使う発音 | ㅂ | ☆「はっぱ」の「ぱ（pa）」の母音「a」を言わずに止める感じ。 ・くちは閉じているか（口腔図のように上下閉じているか） ・舌は口を閉じた状態で自然に口の中で納まっているか。 ・口や鼻から息が漏れていないか。 |
|
以上の３つのパッチムの発音は、「口や鼻から息が漏れるとアウト」です。息が口から出ない音なので「伸ばす」ことができません。もし、このパッチムで伸ばす音が発音できるとしたら、それは間違った発音をしています。あと、それぞれ口の開閉、舌の位置がことなるので、しっかり自分で確認しながら発音してみましょう。
（２）「鼻から息を出す」パッチムの調音点のポイント
| 鼻音 | 代表音 | 発音のチェックポイント | 口腔図 |
| 舌の後ろ部分を使う発音＋鼻音 | ㅇ | ☆「りんご」の「ん」で止める感じ。 ・くちがあいているか。 ・舌の後側が口腔図の赤い点で示された位置あたりにくっついているか。 ・「ㅇーー」と声を伸ばしている状態で、鼻をつまむと息ができなくなるか（音が出なくなるか）。 ※鼻を軽くつまみ、少し鼻から息が出る状態で、「ンー」と声を伸ばしてみると、振動が、口腔図の赤い曲線のように響いている感じがするか（鼻側よりも頭の中央あたりをめがけて振動している感じ）。 |
 |
| 舌先を使う発音＋鼻音 | ㄴ | ☆「かんだ」の「ん」で止める感じ。 ・くちがあいているか。 ・舌先が口腔図の赤い点で示された位置あたり（上の歯または、上の歯茎）についているか。 ・「ㄴーー」と声を伸ばしている状態で、鼻をつまむと息ができなくなるか（音が出なくなるか）。 ※鼻を軽くつまみ、少し鼻から息が出る状態で、「ンー」と声を伸ばしてみると、振動が、口腔図の赤い曲線のように響いている感じがするか（鼻のすぐ上あたりがうなる感じ）。 |
 |
| 唇を使う発音＋鼻音 | ㅁ | ☆「さんま」の「ん」で止める感じ。 ・くちは閉じているか（口腔図のように上下閉じているか） ・舌の後側が口腔図の赤い点で示された位置あたりにくっついているか。 ・「ㅁーー」と声を伸ばしている状態で、鼻をつまむと息ができなくなるか（音が出なくなるか）。 |
 |
上の３つは全て鼻から息を出します。これを「鼻音」と言います。「鼻音」は喉と鼻の通り道が開いていて、息が鼻から抜けていきます。もし、このパッチムの音を伸ばせないとしたら、それは間違った発音をしています。
鼻音は、日本語母語話者には全部「ん（ン）」と聞こえてしまいます。その証拠に、韓国語のカタカナ表記は全て「ン」になっています。
양념치「킨」（ヤンニョムチキン）の「ㄴ」は、「ン」
비「빔」밥（ビビンバ）の「ㅁ」も、「ン」 ※김치（キムチ）は「ム」なのに、비빔は「ビビン」なのはちゃんと聞こえていない証拠です。
「방」탄소년단（バンタンソニョンダン：防弾少年団）の「ㅇ」も、「ン」
という具合です。
日本語母語話者はこの３つが聞き分けできない人が多く、個人差はありますが、ずっと聞き分けができないという人もいます。
特に日本語話者は、この3つを全て「ん」として認識してしまいます。ですので、されている発音です。
本来、神田は「ka【n】da」、神保町は「ji【m】bocho」と発音されますが、【ｎ】の音も【ｍ】の音も全て日本語話者には一緒に聴こえてしまうため、表記まで、「ん」で統一されてしまいます。本当は違う発音にもかかわらずです。
ですが、上の発音のポイントをしっかり押さえておけば、発音はきれいにできます。この３つが難しいと感じる人は、まず聞き分けることではなく、発音を仕分けることから始めましょう。
（３）鼻から息を出さず、口からを息を出すパッチム
| 流音 | 代表音 | 発音のチェックポイント | 口腔図 |
| 舌先を使う＋流音 | ㄹ | ・くちはあいているか ・舌先が口腔図の赤い点で示された位置あたり（ㄴ, ㄷと違い、上の歯には当たらないように注意）についているか。 ・舌をあまり反らさずに、少し上の歯茎にべったりつける感じ（舌の中腹はつけない）になっているか。 ・口腔図の舌の状態を保ったままで息をしたとき、舌の両脇を息が通過するか（舌がスース―と冷たく感じるか）。 ※絶対に「る」という音にならないように気を付ける。むしろ長く伸ばした時に「うー」に近い音になる。 |
 |
（１）では息を出さない、（２）では鼻から息を出すというパッチムを解説しました。（３）は口から息が漏れるパッチムの発音です。これを「流音」といいます。舌の両脇を息が通るので音を伸ばすことができます。伸ばした時は「うー」に近い音がでます。ただ、「う」と違うのは、舌先が口腔図のように上の歯茎にあたっているということです。これができていないと、パッチムの正しい音がでません（しかし、「うー」と伸ばしても、韓国人には同じように聞こえるのでごまかしがききます）。
「를」を発音する時、よく「ルル」と発音する人がいますが、むしろ「ルウー」に近い音がでるので、基準にしてください。
＜もっと詳しく＞
教材ではパッチムの説明が多種多様になされています。「どれかが正しい」ということではなく、「どれも著者にとっては正しい」ことであり、それだけパッチムの発音の仕方というのは、個人の経験によって考え方がかわってくるということです。ですので、一番の方法は「自分で自分の発音の説明を考える」「発音の仕方の基準を考える」ということです。最近の音声認識アプリでも、パッチムの判定は難しいので音声認識の活用はお勧めできないのですが、二文字以上の単語、例えば、
김장（キムチを漬けるシーズン）
긴장（緊張）
단정하다（端正だ）
당장하다（すぐさまにする）
곰（熊）
공（ゼロ）
などを音声認識で正しく表示できるかを試してみても面白いかもしれません。