Ｃ－７．【パッチム】二重パッチムの７つの代表音を整理する。
＜これだけは＞
「パッチムとして書ける文字」
パッチムは、
| ㅂ | ㅏ |
|
ㅂ |
|
| ㅅ |
| ㅜ |
| ㄹ |
のように、子音字と母音字の組み合わせた文字のさらに下につける赤で示された「子音」のことでした。
子音字はＢ－３で整理した通り、
| 平音（韓国語：예사소리/평음） ４個 | ㄱ ㄷ ㅂ ㅈ |
| 激音（韓国語：거센소리/격음） ６個 | ㅋ ㅌ ㅍ ㅊ (ㅅ) (ㅎ) |
| 濃音（韓国語：된소리/경음/농음） ５個 | ㄲ ㄸ ㅃ ㅉ ㅆ |
| 鼻音（韓国語：비음） 3個 | ㄴ ㅁ ㅇ |
| 流音（韓国語：유음） １個 | ㄹ |
１９個の発音がありましたが、パッチムとして書き表せる文字は限られています。この１９個の中で、「ㄸ」「ㅃ」「ㅉ」は使えません。しかし、パッチムは、この３つを差し引いた１６個だけというわけでもありません。実は、パッチムとして現れる文字には「二重パッチム」といって、「ㄺ」「ㅄ」というように、子音を組み合わせた文字があります。その数は次の１１個です。
「二重パッチム」
| 読み方 | 二重パッチム | 単語例 |
| 右側を読む | ㄺ | 읽다[익따]（読む）、[박따]밝다（明るい） |
| ㄻ | 젊다[점따]（若い）、삶[삼]（人生） | |
| ㄼ ※「밟다（踏む）」「넓죽하다（長めに広い）」は左側を読み[밥따][넙쭈카다] | 짧다[짤따]（短い）、넓다[널따]（広い）、떫다[떨따]（渋い） | |
| ㄿ | 읊다[읍따]（（詩を）詠む） |
| 読み方 | 二重パッチム | 単語例 |
| 左側を読む | ㄳ | 넋[넉]（魂／精神）、 몫[목]（役割／内訳） |
| ㄵ | 앉다[안따]（座る） | |
| ㄶ | 많다[만타]（多い） | |
| ㄽ | 외곬[외골]（一途） | |
| ㄾ | 핥다[할따]（なめる） | |
| ㅀ | 끓다[끌타]（沸く）、닳다[달타]（すり減る） | |
| ㅄ | 없다[업따]（ない／いない）、값[갑]（値段） |
「基礎から学ぶ韓国語講座」の著者「木内明」先生はNHKテレビハングル講座で、「２０、２７」の形に見える「ㄺ, ㄻ, ㄼ,ㄿ」は右側を読む、それ以外は左側を読むと覚えるといいと説明していました。これをここでは「２０、２７の法則」と呼ぶことにします。１１個の二重パッチムを一個ずつ覚えるより、とりあえず「２０、２７」は右、それ以外は左と記憶しておいて、二重パッチムの単語が出てくるときに読みを確認していけばいいでしょう。二重パッチムの単語自体、頻繁に出てくるものとそうでないものがありますので、よく目にする単語から覚えていくことにしましょう。まずは、「かしこまった丁寧な語尾」などを付けた形で覚えていくといいでしょう。
※「밟다」は「２０」に見えるので、「右」になるのですが、[밥]と左を読みます。このような例外もあるので、全てに「２０、２７の法則」が使えるわけではないことに注意しましょう。ただ、それほど例外は多くありません。
＜さらに＞
「二重パッチムの連音化」
二重パッチムは、「読みがパッチムで終わる時」または、「二重パッチムの次に子音が来るとき」に、「２０、２７の法則」が使えます。しかし、「二重パッチムの後ろに母音」が来ると「Ｃ－９．連音化」を起こし、「二重パッチムの両方とも読む」ので注意が必要です。
例えば、「삶」（人生）の後ろに助詞「이/가（が）」がついて、「人生が」となったとき、
・내 삶이[살미]（私の人生が）
と、二つとも読みます。「넋」（魂）、「외곬」（一途）などは、「넋을（魂を）」は[넉쓸]（濃音化が起きる）、「외곬으로（一途に）」は、[외골쓰로]（濃音化）と発音します。この時は濃音化も起きるので、少々仕組みが複雑です。
このような連音化は、動詞・形容詞の「해요体」のように、語幹に「아/어」といった母音がつくときによく起こります。この時は「どちらか一方」という考え方は捨てて、二つとも発音してください。
| 単語例 | 해요体と読み |
| 읽다[익따]（読む） | 읽어요[일거요] |
| 젊다[점따]（若い） | 젊어요[절머요] |
| 짧다[짤따]（短い） | 짧아요[짤바요] |
| 읊다[읍따]（（詩を）詠む） | 읊어요[을퍼요] |
| 앉다[안따]（座る） | 앉아요[안자요] |
| 많다[만타]（多い） | 많아요[마나요] |
| 핥다[할따]（なめる） | 핥아요[할타요] |
| 끓다[끌타]（沸く） | 끓어요[끄러요]※ㅎは弱化が起きる |
| 없다[업따]（ない／いない） | 없어요[업써요]※ㅅは濃音化が起きる |
「二重パッチムを持つ名詞の特殊例」
名詞によっては、母音の助詞「이（が）」「은（は）」「을（を）」「으로（道具としての～で）」がついても、両方読まないものがあります。
| 単語 | 이（が） | 은（は） | 을（を） | 으로（（道具）で） |
| 닭[닥]（鶏） | 닭이[달기]（鶏が） | 닭은[달근]（鶏は） | 닭을[달글]（鶏を） | 닭으로[달그로]（鶏で） |
| 여덟[여덜]（やっつ） | 여덟이[여덜비]（やっつが） | 여덟은[여덜븐]（鶏は） | 여덟을[여덜블]（鶏を） | 여덟으로[여덜브로]（やっつで） |
※값있다[가빋따]（値が高い）、값없다[가법따]（値が低い）という単語も、特殊例に入りますが、これは一単語の中で起こる現象なので、単語を発音のまま覚えてしまいましょう。
＜もっと詳しく＞
「ㄺ」パッチムを持つ動詞・形容詞の後ろに、「-고（～して）」「-겠（するつもり／～だろう）」「-기（名詞化語尾～すること）」などの、子音「ㄱ」から始まる語尾が来た時は、子音であるにも関わらず、二重パッチムを両方読みます。両方読む際は、「ㄱとㄱがぶつかる」ので、後ろの「ㄱ」は濃音化をおこします。
| -고 | -겠습니다 | -기 | |
| 읽다（読む） | 읽고[일꼬]（読んで） | 읽겠습니다[일껟씀니다]（読むつもりです） | 읽기[일끼] （読むこと＝読解） |
| 밝다（明るい） | 밝고[발꼬]（明るくて） | 밝겠습니다[발껟씀니다]（明るいでしょう） | 밝기[발끼] （明るいこと＝明るさ） |
| 맑다（澄んでいる／晴れている） | 맑고[말꼬]（晴れていて） | 맑겠습니다[말껟씀니다]（晴れでしょう） | 맑기[말끼] （澄んでいること＝透明度） |
このような正しい読み方は、韓国語ネイティブでも国語の時間に習わないと、「わからない」ということがあります。日本語でいうと「ら抜き言葉」のようなもので、韓国語ネイティブが間違っていたとしても、訂正する必要はないと思います。「ネイティブっぽく話したい」からと言って、ネイティブの間違いを真似する必要もないでしょう。特に「ハングル」能力検定試験では、正しさを問われるのでしっかりと覚えましょう。