Ｃ－４１．［濃音化］派生語の濃音化について整理する。
＜これだけは＞
（１） 「派生語とは」
「派生語」とは、単独で使える単語と『接辞』がくっついてつくられる語のことをいいます。『接辞』というのは、「片手、片想い」の「片」、「二日目、三日目」の「目」のように、単独では使えないけれど（この時の「目」は身体部位としての「目」ではありません）、単独で使える単語と合わさることで一つの語を作り出せる要素のことです。いわば、「単語の居候」のような存在です。この『接辞』がくっついて一つの意味をなしている状態が「派生語」というわけです。
また、「派生語」にあらわれる『接辞』は、「片―目」「片―想い」のように単語の前に付くものと、「二日―目」のように、単語の後ろに付くものの二つがあります。それぞれ、単語の前に付くものを「接頭辞」、単語の後ろに付くものを「接尾辞」と呼んでいます。
この「派生語」について、より詳しい説明は、「Ｄ－３５．派生語について整理する」をご覧ください。
（２） 「接頭辞がついてできる派生語」
「接頭辞」の組み合わせには次のようなものがあります。
| 固有語の接頭辞がついてできる派生語 | 例 |
| 「固有語接頭辞」+「固有語」 | 늦더위（残暑）、되묻다（問い返す） |
| 「固有語接頭辞」+「漢語」 | 맞대결（-対決）、날계란（生鶏卵） |
| 漢語の接頭辞がついてできる派生語 | 例 |
| 「漢語接頭辞」+「固有語」 | 양동이(洋水瓶＝バケツ）、양파(長ネギ) |
| 「漢語接頭辞」+「漢語」 | 명가수(名歌手)、불가능（不可能） |
（３） 「接尾辞がついてできる派生語」
「接尾辞」の組み合わせには次のようなものがあります。
| 固有語の接尾辞がついてできる派生語 | 例 |
| 「固有語」+「固有語接尾辞」 | 손잡이（取っ手）、손가락（指）、울보(泣きん坊）、 먹보（食いしん坊） |
| 「漢語」+「固有語接尾辞」 | 강가（江辺）、간판장이（看板職人）、냉면집（冷麺屋）、찻집（茶屋≒喫茶店） |
| 漢語の接尾辞がついてできる派生語 | 例 |
| 「固有語」+「漢語接尾辞」 | 꾀병(計略+病＝仮病）、심장병（心臓病） |
| 「漢語」+「漢語語接尾辞」 | 목적적（目的的）、인간성（人間性） |
| 「漢語接頭辞」+「漢語」+「漢語語接尾辞」 | 비인간적（非人間的） |
（４）「派生語の濃音化」
これら派生語の中で「濃音化」を起こすのは主に、「接尾辞がついてできる派生語」です。つまり、「接尾辞が濃音化」するものが主となります。
派生語の濃音化＝主に接尾辞が濃音化を起こす
「接頭辞がついてできる派生語」は、たとえ「ㄹパッチム」を持つ接頭辞の後ろであっても、濃音化が起こらない傾向にあります。
＜接頭辞の後ろのでは濃音化が起こらない傾向がある＞
날（生の）+계란（鶏卵）⇒날계란[날게란]（生卵） ×[날께란]
날（生の）+고기（肉） ⇒날고기[날고기]（生肉） ×[날꼬기]
※漢語の接頭辞の場合は、「漢語のㄹパッチムの濃音化のルール」が適応されるために、濃音化します。
불（不）+ 성실（誠実） ⇒불성실[불썽실]（不誠実）
詳しくは、「Ｃ―３９．【濃音化】漢字語でパッチムㄹの後ろにㄷ,ㅅ,ㅈが濃音化する現象について整理する」をご覧ください。
（５）「接尾辞の濃音化」
「接尾辞」が濃音化を起こす、ということは、子音「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈ」を持つ接尾辞に限られるということです。しかし、濃音化が起こら ないものもあります。しかも、その見極めが非常に難しいです。発音をそれほど気にしないという人は先に代表的な物だけおさえて、マイナーな物は気になった時に調べて、少しずつ覚えていきましょう。
＜固有語の接尾辞で濃音化が起こる例＞
・―가（ほとり）：강가[강까](川辺)、눈가[눈까]（目元）、창가[창까]（窓ぎわ）
・―가락（細長い棒状のもの）：손가락[손까락](指)
・―발（「まっすぐ伸びる筋」「勢い」「効果」）：화장발[화장빨](化粧ののり)、사진발[사진빨](写真映り)
・―집（大きさや厚さなどを指す）：흠집[흠찝](きずあと)、몸집[몸찝](からだつき)、물집[물찝](水ぶくれ)
・―짓（動作などを表す）：눈짓[눈찓](めくばせ)、손짓[손찓]（手ぶり）、몸짓[몸찓]（身ぶり）
＜漢語の接尾辞で濃音化が起こる例＞
・―圏：首都圏수도권[수도꿘]
・―価：代価대가[대까]、定価정가[정까]
・―課：人事課인사과[인사꽈]
・―科：外科외과[외꽈]、歯科치과[치꽈]
・―券：商品券[상품꿘]、回数券회수권[회수꿘]
・―権：人権인권[인꿘]、利権이권[이꿘]
・―法：刑法형법[형뻡]、憲法헌법[헌뻡]
・―性：可能性가능성[가능썽]、柔軟性유연성[유연썽]
・―的：知的지적[지쩍]、全的전적[전쩍]、性的성적[성쩍]、内省的내성적[내성쩍]
・―点：採点채점[채쩜]、観点관점[관쩜]、視点시점[시쩜]、時点시점[시쩜]、始点시점[시쩜]、焦点초점[초쩜]、問題点문제점[문제쩜]
・―病：不治病불치병[불치뼝]、糖尿病당뇨병[당뇨뼝]、心臓病심장병[심장뼝]
・―症：痛症통증[통쯩]、不眠症불면증[불면쯩]
・―状：賞状상장[상짱]、委任状위임장[위임짱]
・―証：学生証학생증[학쌩쯩]、免許証면허증[면허쯩]、身分証신분증[신분쯩]
＜上級＞
・―間（場所を表す接辞）：牛舎、馬小屋외양간[외양깐]
＜接尾辞で濃音化が起こらない例＞
子音「ㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅅ, ㅈ」を持つ接尾辞だからと言って
必ず濃音化するわけではありません。この点が非常に悩ましいところではあります。
・領収証：영수증[영수증] ×[영수쯩]
・魔法：마법[마법] ×[마뻡]
・三日葬：삼일장[사밀장] ×[사밀짱]
・짜症：짜증[짜증] ×[짜쯩]
＜さらに＞
「接尾辞が付いたものとして考える漢語」
接尾辞が付いた語（派生語）として一般的に考えない漢語であっても、このルールに当てはめて 扱える単語があります。
・―価： 評価평가[평까]
・―格： 人格인격[인껵]、性格성격[성껵]、厳格엄격[엄껵]、品格품격[품껵]
・―券： 旅券여권[여꿘]
・―件： 事件사건[사껀]、用件용건[용껀]、要件요건[요껀]、条件조건[조껀]
・―果： 成果성과[성꽈]
・―法： 文法문법[문뻡]、秘法비법[비뻡]
・―権： 政権정권[정꿘]
他にも漢語には個別的に濃音化することが決まったものがあります。詳しくは、「Ｃ－２８．［濃音化］漢語の個別的に決まった濃音化について整理する」をご覧ください。
＜もっと詳しく＞
漢語の中には「濃音化」を規則化できるものもあります。「Ｃ－３９．［濃音化］漢字語でパッチムㄹの後ろのㄷ,ㅅ,ㅈが濃音化する現象について整理する。」
ただし、漢語において、「ㄹパッチム」を持つ漢字音の後ろに「ㄱ, ㅂ」が連続した場合は、「ㄱ, ㅂ」が有声音化します（「Ｃ－４２．［有声音化］漢語の有声音化について整理する」）。
しかし、固有語の場合、「ㄹパッチム」に後続する「ㄱ,ㅂ」は「濃音化」します。
・―결（きめ）：물결[물껼](水の流れ)、살결[살껼]（皮膚のきめ）
・―발（「まっすぐ伸びる筋」「勢い」「効果」）：말발[말빨]（はなしのききめ)