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Ｃ－４０．【濃音化】合成語の濃音化について整理する。

＜これだけは＞

（１） 「合成語とは」

　「合成語」とは、単独で使える単語が二つ以上からなる語のことをいいます。例えば、「山」と「道」はそれぞれ単独で使える単語ですが、これらを合わせることで、「산길(山道)」という、また別の単語を作ることができます。このように二つ以上の単語が合わさったものを合成語といいます。

　韓国語の合成語・派生語は、「漢語」と「固有語」を組み合わせて作れるので、組み合わせとしては次のようなものが考えられます。

※１このほかにも、外来語との組み合わせのものがあります（휴대폰(携帯PHONE）、헬기（ヘリ機＝ヘリコプター）、메뉴판（メニュー表）、신메뉴（新メニュー）、광팬（熱狂ファン））。 これらは合成語といわずに「混成語」と呼んだりします。

※２合成語の組み合わせの観点には、「빛나다（光る）」「값싸다（安い）」のように「主語+述語」の関係になっているもの、「열쇠（鍵）」「큰일（大変なこと）」のように「連体形+名詞」の関係になっているものというような区別をする見方があります。今回は、「合成語、派生語の濃音化」を扱うために、便宜上「固有語」「漢語」という分け方で見ていきます。

　なお、「合成語」と「派生語」の詳しい説明は、「Ｄ－３４．合成語について整理する」および、「Ｄ－３５．派生語について整理する」をご覧ください。

（２） 「濃音化する合成語、濃音化しない合成語」

　合成語の濃音化とは、合成語の中で、本来濃音で表記されていないにも関わらず、濃音で発音するもののことをいいます。しかし、合成語は全てが濃音化を起こすわけではありません。合成語によって濃音化したりしなかったりします。

　＜濃音化する合成語＞

　　これら合成語の中で「濃音化」を起こすのは主に、日本語で「□□の〇〇」という構造になっている合成語です。

　　合成語の濃音化＝「□□の〇〇」という構造の合成語が濃音化を起こす

　　例えば、「산길（山道）」というのは、「산（山の）」「길（道）」と考えることができます。助詞の「の」は入っていませんけど、省略されていると考えるわけです。

　　濃音化〇：　산（山の）+　길（道）　⇒　산길[산낄]（山道）

　　濃音化〇：　냉면（冷麺の）+　집（店）　⇒ 냉면집[냉면찝]（冷麺店）

　　濃音化〇：　손（手）+바닥（床）⇒　손바닥[손빠닥]（手のひら）

　＜濃音化しない合成語＞

　　「손발(手足)」「논밭(田畑）」のように「□□と〇〇」という構造になっていないものは濃音化しません。

　　濃音化×：　손（手）+　발（足）　⇒손발[손발]（手足）

　　濃音化×：　논（田）+　밭（畑）　⇒논밭[논받]（田畑）

    濃音化×：　강（ 川）+　산（山）　⇒강산[강산]（山河）

    しかし、この考え方が難しいのは、一見「□□の〇〇」のような構造に見えても、「□□で作られた〇〇」という構造の場合には濃音化が起こらないところです。

　　濃音化×：　기와（瓦で作られた）+　집（家）　⇒기와집[기와집]（瓦の家←実際は瓦でできているのは屋根一部分ではあるので「瓦屋根の家」が正しい）

　　濃音化×：　돌（石で作られた）+　다리（橋）　⇒돌다리[돌다리]（石橋）

　　濃音化×：　별（星で作られた）+　자리（座標）　⇒별자리[별자리]（星座）

   「□□の形をした〇〇」という構造の場合にも濃音化が起こりません。

　　濃音化×：　뱀（蛇の形をした）+　장어（ うなぎ）　⇒뱀장어[뱀장어]（うなぎ）

　　濃音化×：　실（糸の形をした）+　비（ 雨）　⇒실비[실비]（霧雨）

　  濃音化×：　반（ 半分の形をした）+　달（月）　⇒반달[반달]（半月）

　　また、漢語同士の合成語も濃音化が起こりにくいです。

　　濃音化×：　교통（交通の）+　수단（手段）　⇒교통수단[교통수단]（交通手段）

　　濃音化×：　가전（家電の）+　제품（製品）　⇒가전제품[가전제품]（家電製品）

　　さらに、動詞や形容詞の過去連体形・現在連体形がくっついて合成語になっているよなものも連音化が起こらないようです。

　　濃音化×： 지난주[지난주]（先週）　（지나다（ 過ぎ去る）⇒지난+주（週））

　　濃音化×： 지난번[지난번]（前回）　（지나다（ 過ぎ去る）⇒지난+번（回＝機会））

    濃音化×： 뜬소문[뜬소문]（流言）　（뜨다（ 浮く）⇒뜬+소문（噂））

　　濃音化×： 큰절[큰절]（座りながら腰を曲げ、頭を深々と下げるお辞儀）　（크다（ 大きい）⇒큰+절（お辞儀））

　　濃音化×： 하얀색[하얀색]（白色）　（하얗다（ 白い）⇒하얀+색（白色））

＜さらに＞

「사이시옷（あいだのㅅ）がない合成語の濃音化」

　　合成語の中で「濃音化」を起こすのは主に、日本語で「□□の〇〇」という構造になっているという話を上で述べました。

　　この日本語の「□□の〇〇」を韓国語で表す方法を一度考えてみましょう。

　　１）助詞「의（の）」を使う方法

　　　　これは合成語を作る方法ではありませんが、単純に「□□の〇〇」という構造を作る方法です。

　　　　例：나（わたし）+의（の）+ 생각（考え）　⇒　나의 생각（わたしの考え）

　　２）「사이시옷（あいだのㅅ）」を使う方法

　　　　「사이시옷（あいだのㅅ）」とは、二つの単語をくっつけて合成語を作る場合に使う文法要素です。

　　　　例１：차（お茶）+ㅅ（の）+ 집（店）　⇒　찻집（茶屋≒喫茶店）

　　　　例２：고추（唐辛子）+ㅅ（の）+ 가루（粉）　⇒　고춧가루（唐辛子の粉）

　　　　例３：뒤（後）+ㅅ（の）+ 받침（支え）　⇒　뒷받침（後押し）

　　　　上の例をみると、単語の下に「ㅅ」がパッチムとして挿入され、後ろの単語にくっ付いて合成語を成しているのがわかります。「ㅅ」がパッチムとして挿入される単語は、「パッチム無し」つまり、「母音で終わる語」に限られます（パッチムがある単語にさらに「ㅅ」をパッチムとして付けることはできません。詳しくは、「Ｄ－３６.사이시옷（あいだのㅅ）について整理する」をご覧ください。）

　　　　そして、「사이시옷（あいだのㅅ）」が付くと、次にくる子音は必然的に濃音化するというのが発音上の特徴となります。

　　　　찻집[�F찝]（茶屋≒喫茶店）、고춧가루[고�w까루]（唐辛子の粉）、뒷받침[��빠찜]（後押し）

　　３）「사이시옷（あいだのㅅ）」を使う代わりに濃音化させる方法

　　　２）の「사이시옷（ㅅ）」は、「パッチム無しの母音で終わる語」につけますが、パッチムがある語にはつくことができません。しかし、「사이시옷（ㅅ）」がつけない代わりに、「次にくる子音を濃音化させることで、「ㅅ」がありますよ」と見せかける方法があります。

　　　実は、それが「合成語の濃音化」の正体です。どういうことかというと、

　　산（山）+　ㅅはない　+길（道）　けれど・・・　산の後ろに「ㅅ」があるようにみせかけ、길[낄]を濃音化させる　⇒산길[산낄]（山道）

  　냉면（冷麺）+　ㅅはない　+집（店）　けれど・・・　냉면の後ろに「ㅅ」があるようにみせかけ、집[찝]を濃音化させる　⇒냉면집[냉면찝]（冷麺店）

 　 손（手）+　ㅅはない　+ 바닥（床）　けれど・・・　산の後ろに「ㅅ」があるようにみせかけ、바닥[빠닥]を濃音化させる　⇒손바닥[손바딱]（手のひら）

　　そして、このような「合成語の濃音化」がおこるものは、前の単語のパッチムが「ㄴ,ㅁ,ㅇ」および「ㄹ」のものに限ります（ただし、全部の単語が濃音化するわけではない）。なぜなら、「パッチム無しの母音で終わる語」には「사이시옷（ㅅ）」がつく２）の方法で、「□□の〇〇」を表現できますし、パッチム「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈ,ㅊ,ㅋ,ㅌ,ㅍ」に後続すれば、必ず濃音化が起こります。

　前の単語のパッチムが「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈ,ㅊ,ㅋ,ㅌ,ㅍ」の合成語は、当然ながら濃音化する。

　・ㄱ 책갈피[책깔피]（しおり）

　・ㄷ 맏손자[맏쏜자]（長男の長男）※これは派生語だが、「ㄷパッチム」の単語が存在しないために便宜上記入した。

　・ㅂ 입버릇[입뻐�Y]（口癖）

　・ㅅ 옷차림[�ぢⅨ�]（装い）

　・ㅈ 곶감[고깜]（串柿＝干し柿）

　・ㅊ 꽃가루[��까루]（花粉）

　・ㅋ 부엌칼[부억깔]（包丁）

  ・ㅌ 밑거름[믿꺼름]（土台）

  ・ㅍ 앞치마[압찌마]（エプロン）

とにかく「合成語の濃音化」は、「本来濃音で表記されていないにも関わらず、濃音で発音するもの」＝前の単語のパッチムが「ㄴ,ㅁ,ㅇ」および「ㄹ」のものだけを考えればいいのです。

＜前の単語が「ㄴパッチム」の例＞

・장난（遊び）+감（素材）⇒장난감[장난깜]（おもちゃ）

・안（中）+방（房）⇒안방[안빵]（奥の間）

・손（手）+바닥（床）⇒손바닥[손빠닥]（手のひら）

・손（手）+수건（タオル）⇒손수건[손쑤건]（ハンカチ）

・눈（目）+길（道）⇒눈길[눈낄]（目線）

・눈（目）+시울（目や口などの縁）⇒눈시울[눈씨울]（目頭）

※「くち」の場合は、「시울」ではなく、「술」となる。입（ くち）+술(시울)（目や口などの縁）⇒입술[입쑬]（唇）

・눈（目）+동자（瞳子＝瞳孔）⇒눈동자[눈똥자]（瞳）

※손（手）+벽（壁）⇒손뼉（手のひら）の場合は、「벽(壁)」が濃音化された状態で表記も発音も同じになる。

　これと同じように、「이빨（歯）」も、이（歯）+발（すだれ）⇒이빨（歯）のように濃音化された状態で表記も発音も一緒になっていると思われる。

前の単語が「漢語」であっても濃音化する

・전（前）+달（月）⇒전달[전딸]（前月）

・산（山）+길（道）⇒산길[산낄]（山道）

・산（山）+봉우리（峰）⇒산봉우리[산뽕우리]（峰）

・냉면（冷麺）+집（家）⇒냉면집[냉면찝]（冷麺店）

＜前の単語が「ㅁパッチム」の例＞

・김（のり）+밥（ご飯）⇒김밥[김빱]（海苔巻き）

・아침（朝）+밥（ご飯）⇒아침[아침빱]（ 朝ご飯）

・한밤（真夜）+중（中）⇒한밤중[한밤쭝]（真夜中）

・봄（春）+ 방학（学校の長期休業）⇒봄방학[봄빵학]（春休み）

・여름（夏）+ 방학（学校の長期休業）⇒여름방학[여름빵학]（夏休み）

動詞の「ㅁ名詞化」した名詞の場合も濃音化する

・비빔밥[비빔빱]（ビビンバ）　（비비다（混ぜる）⇒비빔+밥（ご飯））

・갈림길[갈림낄]（分かれ道）　（갈리다（分かれる）⇒갈림+길（道））

・지름길[지름낄]（近道）　（지르다（差す）⇒지름+길（道））

・디딤돌[디딤똘]（とびいし）　（디디다（踏む）⇒디딤+돌（石））

・잠자리[잠짜리]（寝床）　（자다（寝る）⇒잠+자리（席））

＜前の単語が「ㅇパッチム」の例＞

・용（用）+ 돈（ お金）⇒용돈[용똔]（小遣い）

・강（川）+ 바람（風）⇒강바람[강빠람]（川から吹いて来る風）

・등（灯）+ 불（ 火・光）⇒등불[등뿔]（ともしび）

外来語であっても濃音化する

・빵（パン）+집（家）⇒빵집[빵찝]（パン屋）

＜前の単語が「ㄹパッチム」の例＞

・불（火）+빛（光）⇒불빛[불��]（炎）

・일（仕事）+자리（席）⇒일자리[일짜리]（職場）

・술（お酒）+자리（席）⇒술자리[술짜리]（酒席）

・발（足）+바닥（床）⇒발바닥[발빠닥]（足の裏）

動詞・形容詞の未来連体形の場合も濃音化する。詳しくは、「Ｃ－２５．【濃音化】「ㄹ」パッチムを持つ連体語尾の濃音化について整理する」をご覧ください。

・열（開ける）+쇠（鉄）⇒열쇠[열쐬]（鍵）

・볼（見る）+거리（もの）⇒볼거리[볼꺼리]（見るもの）

・먹을（食べる）+거리（もの）⇒먹을거리[먹을꺼리]（食べるもの）

＜もっと詳しく＞

「合成語」ではないものの濃音化

「合成語」ではなく、ある単語が連続した時に合成語と同じような濃音化が起こる場合があります。しかし、これは標準発音で定められているわけではなく、慣例です。

・이번（この度の）+ 주（週）⇒이번 주[이번주]（今週）　　慣例では、[이번쭈]

・이번（この度の）+ 달（月）⇒이번 달[이번달]（今月）　　慣例では、[이번딸]

・다음（次の）+ 주（週）⇒다음 주[다음주]（来週）　　慣例では、[다음쭈]

・다음（次の）+ 달（月）⇒다음 달[다음달]（来月）　　慣例では、[다음딸]

※지난주[지난주]、지난달[지난달]は、そのままで発音される傾向にあります。