Ｃ－３８．[鼻音・口蓋音化]短い否定「못-」のㄴ添加および鼻音化、口蓋音化について整理する 。
＜これだけは＞
（１）鼻音化・口蓋化とは
鼻音化は、パッチムの代表音「ㄱ, ㄷ, ㅂ」が、ある条件で「ㅇ,ㄴ,ㅁ」という鼻音に変わることを言います（詳しくは「Ｃ－１９．鼻音化]パッチム代表音「ㄱ、ㄷ、ㅂ」の鼻音化について整理する」をご覧ください）。
口蓋音化は、パッチム「ㄷ」「ㅈ」「ㅊ」 が、様々な条件で他の音に変化することを言います。詳しくは以下をご覧ください。
①못 해요[모태요]（できません） ＝ C-24.[口蓋音化]パッチム「ㅅ」の後にㅎが来る場合の口蓋音化について整理する
②같이[가치]（一緒に）＝ C-29.[口蓋音化]パッチム「ㄷ、ㅌ」の後に「이」が来る場合の口蓋音化について整理する
③닫히다[다치다]（閉じる）＝ C-30.[口蓋音化]パッチム「ㄷ」の後に「히」が来る場合の口蓋音化について整理する
④못 오다[모도다]（来られない）＝ C-33.[口蓋音化]「몇 월、 몇 호、 맛없다、 못 오다、못 알아듣다」の読みについて 整理する
今回はこの中から、パッチムの代表音「ㄷ」が鼻音化を起こすケースと、口蓋音化④のケースに着目して解説します。
（２）「パッチムの代表音「ㄷ」が鼻音化を起こし「ㄴ」に変わって「ㄴ添加」するケース
動詞について「～できない」を表す副詞「못」の発音は、「ㅅ」パッチム「몯」です。パッチムの代表音は、[ㄷ]になります。
パッチムの代表音が「ㄷ」ということは、この後ろに鼻音「ㄴ, ㅁ」が来ると、「ㄷ」は鼻音化を起こし「ㄴ」になります。
못 만나다[몬만나다]（会えない）
못 나오다[몬나오다]（出られない）
못 만들다[몬만들다]（作れない）
というような感じです。次のような場合も鼻音化を起こしますが、上のような単純な鼻音化とは異なります。
못 일어나다[몬니러나다]（起きられない）
못 읽다[몬닉따]（読めない）
못 입다[몬닙따]（着られない）
못 잊다[못니따]（忘れられない）
못 이기다[몬니기다]（勝てない）
못 열다[몬녈다]（開けられない）
「일어나다」「읽다」「입다」「잊다」「이기다」「열다」は、「이」または、「여」で始まる動詞です。このように「이」または、「여」で始まる動詞の前に、「못」が来た場合は、パッチム代表音「ㄷ」が鼻音化を起こして、さらに、「이」または、「여」が、「니」「녀」になるという現象が起こります。「이, 야, 여, 요, 유」のまえに、パッチム代表音「ㄷ」が来ると、「니, 냐, 녀, 뇨, 뉴」のように「ㄴ」が添加されてしまうことを「ㄴの添加」と読んでいます。
現象としては、鼻音化と「ㄴの添加」の二種類が同時に起こっているのです。動詞で「이, 야, 여, 요, 유」で始まる動詞はそれほど存在せず、せいぜい「이, 여」くらいなので、あまり深いことを考えずに、「못」の後ろに「이, 여」を持つ動詞が来た時は「몬」と発音して、「ㄴの添加」の添加が起こると覚えておけばいいでしょう。
※上の発音が正しいのですが、以下の発音も実際には許容されています。この場合は、口蓋音化が起きています。
못 일어나다[모디러나다]（起きられない）
못 읽다[모딕따]（読めない）
못 입다[모딥따]（着られない）
못 잊다[모디따]（忘れられない）
못 이기다[모디기다]（勝てない）
못 열다[모뎔다]（開けられない）
（３）「못」が口蓋音化するケース
「C-24.[口蓋音化]パッチム「ㅅ」の後にㅎが来る場合の口蓋音化について整理する」「C-33.[口蓋音化]「몇 월、 몇 호、 맛없다、 못 오다、못 알아듣다」の読みについて 整理する」でも説明してありますが、再度「못」を使ったものに限定して整理しておきます。
「～できない」を表す副詞「못」は、発音変化が起きやすい文法要素です。（２）のケースもそうですが、よく使う「하다」の時も変化が起きます。
못 하다[모타다]（できない）＝＞活用した場合も同じく口蓋音化が起きる 못 해요[모태요]
他にも、
못 알아듣다（聞き取れない）[모다라듣다]
못 알아보다（見間違う）[모다라보다]
못 오다（来られない）[모도다] ＝＞活用した場合も同じく口蓋音化が起きる 못 왔어요[모돠써요]
못 웃다（笑えない）[모두따]
などがあります。
＜さらに＞
「못」の後ろに来ても発音変化が起きない語
「못」の後ろに、「이, 여」を持つ「일어나다, 입다, 열다」が来れば「ㄴの添加」が起き、「아,오,우」「ㅎ」であれば口蓋音化が起きます。
「ㄴ, ㅁ」を持つ「낫다, 놓다, 물어보다, 모으다」などは、鼻音化を起こします。
子音「ㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅅ, ㅈ, ㅊ, ㅋ, ㅌ, ㅍ」は、濃音化を起こします。
「ㄹ」から始まる動詞はありませんから、「못」を使う時は、ほぼ確実に何らかの発音変化が起きると見ていいでしょう。
「못」は文法としての使いやすい反面、会話では発音に気を付けなければならない難度の高い文法なのです。
＜もっと詳しく＞
「発音練習」
以下の文で発音練習してみましょう。
오랜만에 만나서 친구 얼굴을 못 알아봤어요.
너무 어려워서 숙제 못 했어요.
일찍 못 일어나면 내일 여행 못 가요.
글씨가 작아서 못 읽겠어요.
시간이 없어서 친구 못 만나요.
우리는 서로 사랑하니까 못 헤어져.
제임스 씨가 오늘 감기 때문에 못 온대요.
힘이 약해서 못 열어요.
방이 어두워서 열쇠를 못 찾았어.
양이 많아 못 먹겠어요.
퍼즐이 너무 복잡해서 못 풀어요.