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語尾１２－２．【否定表現】動詞・形容詞の「長い否定 -지 않다」について学ぶ。

＜これだけは＞

　（１）「短い否定　안」と「長い否定 -지 않다」

　　韓国語の動詞・形容詞の否定は、「短い否定 안」を使った方法と、「長い否定 -지 않다」を使った方法の二種類があります。

　　動詞の否定：아니요, 안 갑니다.（短い否定）/아니요, 가지 않습니다.（長い否定）　（いいえ、行きません。　or　行かないです。）

　　形容詞の否定：아니요, 안 멉니다.（短い否定）/아니요, 멀지 않습니다.（長い否定）（いいえ、遠くありません。 　or　遠くないです。）

　　「短い否定　안」については、「１２－１．【否定表現】動詞・形容詞の「短い否定　안」について学ぶ」をご覧ください。ここでは、「 長い否定　-지 않다」を扱います。

　　（２）動詞・形容詞の「長い否定　-지 않다」の形

　　　動詞・形容詞の否定表現の形は、動詞・形容詞の区別なくどちらも同じ形になります。さらに、パッチムの有無による違いによる形の違いもありません 。

「長い否定　-지 않다」の形

　長い否定の場合、動詞・形容詞の語幹に「지」が付き、その後ろに「않다」が付きます。書く時は、「지」を動詞・形容詞の語幹とくっ付けて書き、その後ろの「않」は、離してかきます。「動詞+지」までが一括り、「않다」が一括りとなっています。

　というのは、余談ではありますが、「않」というのが、「아니하다（ではない）」という表現の縮約形 （母音が省略されて아 + ㄴ + ㅎ + 다の組み合わせになっている）になっていて、「않」だけでも一つの意味をもっているため、「않다」は離して書くことになっています 。

　「않다」は単独で使われず、必ず「動詞・形容詞の語幹+지 않다」の形で使われます。なお、基本の形が「다」で終わっているので、動詞・形容詞のように考えて「活用」させることが可能です。つまり、「않다」を丁寧な語尾の形「습니다体」か、「해요体」に変えることができ るというわけです。

　「않다」は、「다」の直前に「ㄶ」パッチムがありますから、「습니다体」なら「습니다」をつけます。 「않습니다」は[안씀니다]と発音します。

　　また、「해요体」ならば、「않」に陽母音「ㅏ」が含まれていますから、「아요」が 付くことになります。「않아요」は、[아나요]と発音します。

このあたりの活用が分からないという方は、「語尾７．【動詞＋ます（か）】【形容詞＋です（か）】動詞・形容詞＋ㅂ니다/습니다について学ぶ」および、「語尾８．【動詞＋ます（か）】【形容詞＋です（か）】動詞・形容詞＋아요/어요について学ぶ」をご覧ください。

　　（３）「否定の応用（否定文の過去表現と尊敬表現）」

　否定には、「過去の否定文」「否定文の尊敬表現」「否定文の尊敬表現の過去」など応用も可能です。ただし、「長い否定　-지 않다」は、「動詞・形容詞の 語幹の直後」にしかつかない点に注意しましょう。

　①通常の否定文　　　　　　　　출장을 가지 않습니다.（出張に行きません。）

　②否定文の過去表現　　　　　　출장을 가지 않았습니다.（出張に行きませんでした。）

　③否定文の尊敬表現            사장님께서는 출장을 가지 않으십니다.（社長は出張に行かれません。）

　④否定文の尊敬表現の過去　　　사장님께서는 지난주 출장을 가지 않으셨어요.（社長は先週出張に行かれませんでした。）

「尊敬の文法要素 (으)시」に関しては、「長い否定 -지 않다」の前にくる場合もあります。さらに、一つの文で「尊敬の文法要素 (으)시」を二回使う表現もありますが、いわゆる二重敬語にあたる表現なので、上の③、④を使えていれば十分です。

　⑤ 사장님께서는 가시지 않습니다.（社長は行かれません。）

　⑥ 사장님께서는 가시지 않으십니다.(社長は行かれません。)

　（４）「～じゃない、違う！と主張するための長い否定 -지 않다」

　「短い否定　안」では、「있다（ある）」「없다（ない）」「맛있다（おいしい）／맛없다（おいしくない）」「재미있다（おもしろい）／재미없다（おもしろくない）」という肯定と否定の対になっている語彙が使えませんでした（「１２－１．【否定表現】動詞・形容詞の「短い否定 안」について学ぶ」参照）

　　一方、長い否定 -지 않다」では、これらの語彙が使えます。

＜長い否定にできるが短い否定にできない語彙＞

　※△の場合は、使う人もいるので、全く使えないとは言えません。ただ、「알다（わかる）」は、「견디다（耐える）」「 깨닫다（悟る）」といった認知動詞といわれるものなので、「短い否定　안」、「長い否定 지 않다」のどちらも使えないとされています。

   なぜ、このような違いが生じてしまうのかというと、「短い否定　안」は「意志や意図」を強く表し、「長い否定 -지 않다」は「肯定に対する単純な否定」という意味を強く表す傾向があるからです。

　「わかる／わからない」というのは、意志を強くもったからといって、「わかるようになる」「わからないようになる」というものではありません。「ある／ない」も同じです。あればあるし、なければない、あるものを意図をもって消し去ることはできないし、ないものを出現させることは不可能です（他にも견디다（耐える）、깨닫다（悟）といった単語にも同じことが言えます）。そのため、「意志や意図」を強く表す「短い否定　안」が使えないというわけです。

　一方、意図を強くもてば行動を変えられる動詞、「가다（行く）」「먹다（食べる）」等は、「안 가요（行きません！）」「안 먹어요！（食べません！）」と意志を強く表せられます。

　Ａ：다 안 먹어요?（全部食べないのですか？）

　Ｂ：다이어트 중이니까 안 먹어요.（ダイエット中だから食べませんよ。）

　上の会話で、Ａさんも、Ｂさんも「短い否定　안」を使っています。Ａさんは、相手の「食べるかどうか」という意志を問うために、「안」を使い、Ｂさんは、自分の意志を表明するために「短い否定　안」を使っています。こういった「意志」のやりとりの時に「短い否定　안」がよく使われるのです。

　　一方で、「長い否定 -지 않다」は意志や意図とは関係なく、「肯定に対して単純に否定する」時に使われる傾向にあります。要するに単純に「～じゃなくて、～だ」「違う」という事実の否定を表したい場合です。

　Ａ：휴일에 어디 가요?（休日にどこか行きますか？）

　Ｂ：아니요, 안 가요（「行かない」という自分の意志を相手に伝えた）

　Ｂ’：아니요, 가지 않아요（行くかと問われたので、単純に「行かない」と答えた）

　全ての文で、このような「短い否定　안」「長い否定 -지 않다」の違いが出て来るわけではありませんが、文脈によっては、「안 가요」という短い否定を使った方が、「行かないよ」という意志が伝わやすいです。他方、「違う」という事実の否定をするような下の会話の場合は、「- 지 않다」が可能です。

　Ａ：이것도 몰라요?（これも知らないの？）

　Ｂ：모르지 않아요. 근데 잘은 모르겠어요.（知らなくないですよ。だけど、よくは知らないです。）

　×　Ｂ’：안 몰라요

　Ａさんが、「これもわからないの？」と詰め寄ってきたので、それをまず「～じゃない、違います」と主張しようとしてＢさんは、「모르지 않아요」と言っています。ひとまず否定しないと困る場面では、「長い否定 -지 않다」が使われます。ですから、否定の否定のような次のような表現で、「長い否定 -지 않다」が使えます。

　맛없지 않아요（まずくありません＝おいしいとはいえないが、まずくはない）

　재미없지 않아요（おもしろくなくない＝おもしろいとはいえないが、おもしろくなくはない）

　없지 않아요（なくありません＝少なからずはある）

　しかし、この説明では、「맛있다（おいしい）／맛없다（おいしくない）」「재미있다（おもしろい）／재미없다（おもしろくない）」以外の「意志や意図」を表す必要がない形容詞で、「短い否定　안」が使えるという矛盾が生じてしまいます。この説明は、あくまでも、「알다（わかる）」「모르다（わからない）」「있다（ある）」「없다（ない）」「맛있다（おいしい）／맛없다（おいしくない）」「재미있다（おもしろい）／재미없다（おもしろくない）」では「短い否定　안」が使えないということを説明するための便宜上の物だと理解してください。

　ただ、「短い否定　안」は「意志や意図」を強く表し、「長い否定 -지 않다」は「肯定に対する単純な否定」という意味を強く表すという傾向性は、動詞の時に強く表れる用です。

　というのも、「좋아하다（好きだ・好む）」という単語は、形容詞ではなく、『他動詞』にあたるのですが、「好みではない」という自分の意志を表示する時、「좋아하지 않아요」ではなく、「안 좋아해요」がよく使われるからです。

　Ａ：매운 음식 좋아해요?（辛い食べ物好きですか？）

　Ｂ：안 좋아해요.（好きじゃないです。）

　△　Ｂ’：좋아하지 않아요.

　この場合に、「좋아하지 않아요」ということも可能ですが、「好きじゃない」という意図を相手に伝えようとしているのであれば、「안 좋아해요」のほうが、しっくりくきます。

　なお、「短い否定　안」は「意志や意図」を強く表し、「長い否定 -지 않다」は「肯定に対する単純な否定」というのは傾向であって、常に意味が固定されているということではない点にも注意してください。「長い否定 -지 않다」に意志を強調する「-겠-」という語尾を付ければ当然、「長い否定 -지 않다」で意志や意図を表すことができます（저는 하지 않겠어요!（わたしはしません！））。
　

＜さらに＞

（１）「長い否定 -지 않다」に付く助詞

　「長い否定 -지 않다」の「지」の後ろには、様々な助詞を付けることができます。

　・나는 한국 드라마를 좋아하지 않아요.（わたしは韓国ドラマが好きじゃありません。）

  ・나는 한국 드라마를 좋아하지가 않아요.（わたしは韓国ドラマが好き「では」ありません。）

　・나는 한국 드라마를 좋아하지를 않아요.（わたしは韓国ドラマが好き「では」ありません。）

　・나는 한국 드라마를 좋아하지는 않아요.（わたしは韓国ドラマが好きではありません＝好きではないが、しかし興味はある）

　・나는 한국 드라마를 좋아하지도 않아요.（わたしは韓国ドラマが好きでもありません＝好きでもないし興味もない）

　助詞が付くことで、ただ単純な否定というよりも、何か含みを持った表現になります。「가」「를」を使うとより否定が強調されたニュアンスになります。「는」は「～ではないが～だ」、「도」は、「～でもあり、～でもある」という含みを持たせることができます。

（２）「短い否定 안」+「長い否定 -지 않다」

　「短い否定 안」と「長い否定 -지 않다」は同時に使うことが可能です。特に助詞「는」が付いた場合「안 ～지는 않다」の形が使いやすいです。

　・밥을 안 먹지는 않았다.（ご飯を食べなくはなかった＝食べなくはなかったが、ちゃんと食べなかった）

　・숙제를 안 하지는 않았다.（宿題をしなくはなかった＝しなくはなかったが、ちゃんとしなかった）

（３）「長い否定 지 않다」が使えない例

＜語彙の意味上の制約＞

　上で挙げた、「알다（わかる）」は、「견디다（耐える）」「 깨닫다（悟る）」といった認知動詞は、「長い否定 -지 않다」が使いにくい傾向にあります。

＜文法的な意味の制約＞

　「(으)면 안 되다（してはダメだ）」という文法の場合、「ダメだ」という意味は、「안 되다」の形でしか表せないため、

 ×「(으)면 되지 않다」

　　という言い方はできません。「ダメだ」という禁止を表したい場合も、「안 돼！（ダメ！）」だけが使えます。

＜談話状の制約＞

さらに、意志や意図をはっきりさせたい時（特に動詞）の場合は、「長い否定 -지 않다」よりも「短い否定　안」が使われます。

＜一緒にゲームしようとしたがＢの機嫌が悪くなってしまった状況で＞

　Ａ：화내지 말고 같이 하자. （怒らないで一緒にしようよ。）

　Ｂ：나 안 해（しないってば）

　△Ｂ’：나 하지 않아（しないよ）

　この会話のようにＡにはっきりと「しない」という意志を伝えたいのであれば「안 해」の方が適切です。意図を尋ねる時も同様です。

＜なぜホラー映画を見ないのか意図が気になる＞

　Ａ：왜 안 봐? （なんで見ないの？）

△Ａ’：왜 보지 않아?

　Ｂ：나 원래 무서운 영화를 안 봐（わたしはもともと怖い映画を見ないんだよね。）

　「なぜしないのか？」という意図が知りたい時は、「短い否定　안」を使って尋ねることが多いようです。過去形の場合でも、次のようなニュアンスの違いがあらわれます。

＜なぜ集まりに行かなかったのか意図が気になる＞

　①왜 안 갔어요? （なんで行かなかったの？）

　②왜 가지 않았어요?（どうして行かなかったの？）

　①は理由が知りたかったり、行かなかった気持ちが知りたくて尋ねているニュアンスなのに対して、②は、「行かなかった」という行動に対して、何か咎めているようにも捉えることができます。絶対にそうだという分けではないのですが、意志や意図を尋ねる「短い否定 안」とは違い、文脈によっては、「行けばよかったのに、行かなかったのは残念だ／よくないことだ」というニュアンスになる可能性があるということです。　咎めるつもりがないのに、「長い否定 -지 않다」を使ってしまったがばっかりに、相手が「怒られた」と勘違いしてしまうということもあり得ます。

　ここが、「長い否定 -지 않다」と「短い否定 안」の使い分けの難しい所でしょう。

＜もっと詳しく＞

「～か～じゃないかを尋ねる」

　動詞・形容詞の否定形は形を作ること自体はそう難しいわけじゃありません。しかし、上記のことを考えると使い分けに多少の知識が必要です。最初の練習では、あまり使い分けの必要のない状況での会話練習から始めることをお勧めします。

　たとえば、「寒くないですか？」「暑くないですか？」といった、室内温度を気にしてあげる会話だったり、「辛くないですか？」「少し量が多くないですか？」といった食事での配慮の会話から始めるのです。この場合は、「長い否定 -지 않다」と「短い否定 안」どちらも使うことができます。ただし、「短い否定 안」が使えない形容詞の時は、注意が必要です。

＜友達を家に招待して室内温度を気遣う＞

Ａ：방 덥지 않아요? 에어컨 켤까요?（部屋暑くないですか？）

Ｂ：아니요, 괜찮아요.（いいえ、大丈夫ですか？）

＜食堂で友達を気遣う＞

Ａ：이 비빔밥 조금 맵지 않아요? 괜찮아요? （このビビンバちょっと辛くないですか？大丈夫ですか？）

Ｂ：조금 맵네요. 근데 양이 너무 많지 않아요?（ちょっと辛いですね。ところで、量がすごく多くないですか？）

Ａ：맞아요. 못 먹겠어요（そう思います。食べられなさそうです。）

＜服屋で友達に質問する＞

Ａ：이 옷 화려하지 않아요? （この服派手じゃないですか？）

Ｂ：화려하지는 않은데 이것보다 저것이 더 잘 어울릴 것 같아요.（派手ではないけど、これよりあれがもっと似合うと思うよ。）

「なぜ～しないのかを尋ねる」

「短い否定 안」を練習するならば意志・意図が関わってくる「なぜ～しないかを尋ねる」ような会話で練習するのが良いでしょう。例えば、一緒に食事をしているのに食事に手を付けないでいる人に「なんで食べないの？具合でも悪いの？」と心配してあげるような会話が想定できます。

＜食事をしない友達を気遣う＞

Ａ：왜 안 먹어요? 어디 아파요? （なんで食べないの？どっか具合でも悪いの？）

Ｂ：비빔밥이 좀 매워서요.（ビビンバがちょっと辛くて。）

Ａ：그럼, 김밥 먹어요. 김밥은 안 매워요.（それじゃ、キンバ食べてよ。キンバは辛くないですよ。）

　否定を学ぶ場合は、形を作る練習だけでなく、さまざまシチュエーションを変えて会話練習すると、「長い否定 -지 않다」と「短い否定 안」の使い分けに慣れていけるはずです。

「～じゃないなくて～」を上手く使った詩

「～じゃなくて～だ」という単純な肯定文の否定を上手く使った詩を紹介しておきます。この詩は、「肯定に対して否定」という単純な形式を並べることで読み手のイメージが膨らみやすくする技法を使っているので、「短い否定 안」に置き換えることはできません。

문향란「작은 위안」

내가 그대를 안다는 것.

그대는 나를 모른다는 것.

내가 그대를 숨긴다는 것.

그대는 나를 숨기지 않는다는 것.

내가 그대 곁에 있다는 것.

그대는 내 곁에 없다는 것.

내가 그대를 그리워한다는 것.

그대가 나를 그리워하지 않는다는 것.

내가 그대 그림자인 것.

그대가 나의 그림자가 아닌 것.

내가 그대를 사랑한다는 것.

그대는 나를 사랑하지 않는다는 것.

내게 다가온 바람같은 그대.

그대는 나를 지나치는 바람.