助詞２．【～が】 이/가について学ぶ。
＜これだけは＞
「パッチム」による区別
日本語の助詞「 ～が」に該当する助詞が韓国語にもあります。助詞というものは基本的に動詞・形容詞とはくっつかず、「名詞」とくっつくのですが、韓国語の「～ が」は、くっつく「名詞」が「パッチムで終わっているか」「パッチムで終わっていないか」で形が異なります。
例えば、
| 名詞がパッチムで終わっているものの例 도서관（ 図書館） | 이 がつく | 例文１． 도서관이 없습니다. （ 図書館がありません） |
| 名詞がパッチムで終わっていないものの例 고등학교（ 高等学校・高校） | 가 がつく | 例文２．고등학교가 있습니다. （高校があります） |
「저 나 너につく가」
基本的にどの名詞であっても、パッチムの有無で、「」または「」をつければいいのですが、代名詞「저, 나, 너」に関しては注意する点があります。
いずれも「パッチムで終わらない語」なので、「가」がつくのですが、形が少し変わります。
| 目上に対して使う「わたし」の 「저」 | 가がついて、「저」は「제」に変わる | 제가（わたしが） |
| 年が近く親しい年上、同い年、年下に使う「わたし」「ぼく／おれ」の「나」 | 가がついて、「나」は「내」に変わる | 내가（わたし・ぼくが） |
| 同い年、年下に使う「きみ」「おまえ」「あんた」 「너」 | 가がついて、「너」は「네」に変わる | 네가（きみが） |
「가」をそのままつけて、「×저가 ×나가 ×너가」とするのは間違いです。
このように形が変わる理由には、歴史的な理由があって、もともと昔は「～が」にあたる助詞は、パッチムの有無にかかわらず「이」しかなく「저이 나이 너이」としていました。「저이」「나이」「너이」は、縮約してくっつけて書くと、「제」「내」「네」と書けるのですが、後にパッチムなしの助詞「가」が現れた時、「제」「내」「네」に「가」がくっついてしまったんですね。「제」「내」「네」だけでも「わたしが」「きみが」の意味で使えるので、「わたしがが」と重複するんですが、形だけ昔の名残を残したまま、意味としては「제가」「내가」「네가」で「わたしが」「きみが」として使われるようになったわけです。
ただ、ここでこまったことに、「내가」と「네가」の発音は、ほぼほぼ一緒なので、形を見たら区別できても、音だけ聞くと区別ができないということが起こります。「わたしが」なのか「きみが」なのかがわからなくなる。そこで、現代の話し言葉では、「내가」（わたし）の発音はそのままで発音しますが「네가」（きみが）に関しては、書くときは＜네가＞と書いて、発音するときは、[니가]と発音することも多いです。アナウンサーや教会での聖書朗読、朗読を文字通りにきっちり発音したいという人の中には、文字通り[네가]で発音する人もいます。皆で文字を読みながら朗読する時には視覚的に区別できるので[네가]で発音していいと思いますが、文字を見ながらではない日常会話で使うときは[니가]（きみが）と発音していた方が通じやすいと思います。
＜さらに＞
「読み方」
パッチムで終わっている場合、「이」がつく場合、連音化（詳しくはＣ－９．連音化）が起こります。
例えば、「이름（名前）」「일본（ 日本）」「직업（職業）」という単語の後ろに、「이」がつく場合、
＜이름이（名前が）＞ ⇒ [이르미]
＜일본이（日本が）＞ ⇒ [일보니]
＜직업이（職業が）＞ ⇒ [지거비]
となります。
ただし、Ｃ－９．連音化でも詳しく説明してある通り、「ㅇ」パッチムで終わっている名詞は、連音化せず、「ㅇ」パッチムをはっきり発音してから「이」を発音します。
＜여동생이（妹が）＞ ⇒ [여동생이]
「것につく이の縮約形」
「이것（これ）, 그것（それ）, 저것（あれ）」につく「이（～が）」は、それぞれパッチムを省略する形「」で使えますが、これに助詞「이」がついて、縮約形になることがあります。これらは、作文などの書き言葉ではあまり使われず、日記調の書き物や話し言葉で多く使います。
| 이것이（これが） | 이것の省略形「이거」に助詞「이（～が）」付く | 이게（これが） |
| 그것이（それが） | 그것の省略形「그거」に助詞「이（～が）」付く | 그게（それが） |
| 저것이（あれが） | 저것の省略形「저거」に助詞「이（～が）」付く | 저게（あれが） |
なぜかこの形は、省略形が「이거, 그거, 저거」というパッチム無しの形にも関わらず、「이」がつくのが特徴です。「이거, 그거, 저거」に「가」がついて、「이거가、그거가, 저거가」という形でも間違いではないのですが、比較的あまり使われないようです。
「名前の後ろにつく『이』」
それと、韓国ドラマを見ていると、パッチムのある人の名前の後ろに「이」を付けて名前を言うことがあります。例えば、
정국（ジョングク）⇒「정국이」
윤정（ユンジョン）⇒「윤정이」
パッチムがある名前に「이」を付けるのは、「～が」の意味を持たない（助詞ではなく、名前の後ろにつける接尾辞）ず、パッチムの名前と助詞をつっくきやすくする装置程度に考えておくといいでしょう。「ジョングクが」「ユンジョンが」と言いたいときも、名前を言いやすくした上で、さらに「～が」の「가」を付けて、
정국이가（ジョングクが）
윤정이가（ユンジョンが）
となります。あくまでも、最後の「가」が助詞「～が」であって、名前の後ろの「이」は助詞ではなく、パッチムの名前と助詞をつっくきやすくする装置です。ですので、言いやすくしないで、そのまま、パッチムの名前に「～が」の「이」を付けて、
△ 정국이 （ジョングクが）
△ 윤정이（ユンジョンが）
としてものいいような気もしますが、あまり一般的ではないようです。このような現象は、人名やペットの愛称にしか使われませんので、「本」や「地下鉄」といったものにつけることはできません。
×책이가 있습니다. ◎ 책이 있습니다.（本があります）
×지하철이가 빠릅니다. ◎ 지하철이 빠릅니다.（地下鉄が早いです）
詩や物語で、物を「擬人化」させるのであれば問題ありませんが、人名と物と区別しながら助詞を使用してください。
＊ このパッチムの名前と助詞をつっくきやすくする装置は、「～は」の「은/는」、「～が」の「이/가」で必ずと言っていいほど使われますが、他の助詞では、「必ず」現れるものではないようです。
〇 정국은 ◎ 정국이는（ジョングクは）
〇 윤정은 ◎ 윤정이는（ユンジョンは）
「와/과(～と)」等だと、どちらでもいい 정국과（ジョングクと） 정국이와（ジョングクと）
＜もっと詳しく＞
「『이/가』は自動詞、形容詞とよく使われる」
韓国語の「～が」である、「이/가」は日本語と使い方はほとんど変わりません。 多くは、自動詞、形容詞と多く使われます。
自動詞：例１．문이 열립니다.（扉が開きます）
例２．유리가 깨집니다.（ガラスが割れます）
形容詞：例３．옷이 작습니다.（服が小さいです）
例４．바지가 큽니다.（ズボンが大きいです）
「自己紹介は『이/가』ではなく、『은/는』で」
日本語と同じく、自己紹介の場面で、「～は」と「～が」を取り違えると、不自然に聞こえることがあります。
例５．만나서 반갑습니다. 제가 박철수입니다.（はじめまして。私がパク・チョルスです。）
「私が～」というと、「お待たせしました。そうです。わたくしがかの有名な」みたいなニュアンスが含まれるので、「お待たせしました」という意味で自己紹介するのでなければ、
例６．만나서 반갑습니다. 저는 박철수입니다.（はじめまして、私はパクチョルスです。）
と言った方がよさそうです。
「疑問詞と一緒に使う『이/가』」
また、「意味は『何』ですか」「ふるさとは『どこ』ですか」のように、「何」「どこ」のような疑問詞と一緒に使われる場合、 日本語では「意味は」「ふるさとは」のように、「～は」が使われるのが一般的ですが、韓国語では「이/가（～が）」が使われることが多いです（「은/는（～は）」を使っても意味は通じますし、間違いではないのですが、「이/가（～が）」のほうが、より自然に聞こえることがあります）。
〇 뜻은 뭐예요?（意味は何ですか？）
◎ 뜻이 뭐예요? （意味「は」何ですか？） ← 「は」は、韓国語で「が」になっている。
〇 고향은 어디예요?（ふるさとはどこですか？）
◎ 고향이 어디예요? （ふるさと「は」どこですか？） ← 「は」は、韓国語で「が」になっている。