語尾３．【名詞＋ではありません】 名詞＋이/가 아닙니다/아닙니까について学ぶ。
＜これだけは＞
名詞につく 「ではありません」
韓国語の、
例１．학생입니다.（学生ですか）
を「否定」の形に変えると、
例２．학생이 아닙니다.（学生ではありません）
になります。학생（学生）の後ろに「아닙니다」 だけでも「学生ではありません」となるのですが、名詞の後ろにパッチムがある名詞には「이」、パッチムがない名詞には「가」を付けてあげるのが基本的な形になります。
例３．회사원이 아닙니다（会社員ではありません）
例４．가수가 아닙니다（歌手ではありません）
日本語と韓国語は語順が一緒なので、直訳して覚えがちですが、この「이/가 아닙니다」は直訳できません。ですから、とくに名詞につく「이/가」が「では」の部分で「아닙다」が「ありません」の部分だと考えると間違いをおかします。
たとえば、「『아닙니다』はありませんでしょ」と考えてしまうと、
× 우유 아닙니다（牛乳がありません）
みたいに「存在しない」という意味で使ってしまう人がいます（「存在しない」「ない」の意味を持つ韓国語は「없습니다」です）。「아닙니다」はあくまで、「歌手じゃない」とか「会社員じゃない」とか、「そのような職業、所属、人物ではない」という意味で使います。
それと、「이/가」の部分を「では」という訳し方をすると、「～が」という助詞である「이/가」と混同して「これは『では？』それとも『が？』」みたいな混乱が生じます。このような混乱は韓国語にまだ慣れていない人や、「文字を逐一順番に翻訳しながら理解しようとする人」に起こりがちです。「이/가 아닙니다」に出てくる「이/가」は日本語に訳そうとせず、「이/가 아닙니다（～ではありません）」をワンセットで覚えるんだと考えてください。
「～ではありませんか？」と疑問にしたいときは、「입니다」の時と同様に、「다」を「까」に変えて疑問にします。
例５．고등학생이 아닙니까?（高校生じゃありませんか？）
＜さらに＞
「使い方」
「～じゃありません」という表現はよく使うようでいて、あまり使わないという現実があります。
Ａ：고등학생입니까?（高校生ですか）
Ｂ：아니요, 대학생입니다.（いいえ、大学生です）
高校生かを問われて、高校生ではないことを伝える時、「いいえ」一言で終える場合もありますが、「いいえ」の後ろに「大学生です」とか、「会社員です」とか、「そうではなく～です」という補足が加わることが多いと思います。
Ａ：고등학생입니까?（高校生ですか）
Ｂ：아니요, 고등학생이 아닙니다.（いいえ、高校生じゃありません）
このような会話も無くはないのですが、この会話だと「『じゃない』のであれば、一体なんなんだ」と質問した側はモヤモヤしたままで終わります。「高校生ですか」と聞いている人は「じゃないこと」が知りたいわけじゃなくて、「だったら何なのか」が知りたいわけです。このように発話した場合であっても、やはり、最後に「大学生です」という捕捉を加えるほうがコミュニケーションが成立しやすいでしょう。
Ａ：고등학생입니까?（高校生ですか）
Ｂ：아니요, 고등학생이 아닙니다.대학생입니다.（いいえ、高校生じゃありません。大学生です。）
ですから、「～じゃありません」と言わずに、「大学生です」と言ってしまったほうがすっきりする会話になり、「～じゃありません」使わないんじゃないとなってしまいます。
逆に使う場面を考えてみると、
Ａ：네가 했지?(お前がやったんだろ！)
Ｂ：제가 아닙니다(私ではありません。)
のように、「自分のことについて強く否定しなければならない時」だったり、
Ａ：이것 네 것 아냐?(これって、あなたのものじゃない？)
Ｂ：아니요, 제 것이 아닙니다.(いいえ、私のじゃありません。)
先生：민지가 한 거지?(ミンジがやったんでしょ。)
生徒：저 아이가 아닙니다(あの子ではありません。)
のように、「誰が当事者かよくわからないけど、とりあえず否定しておかなければならない時」に使われるのではないでしょうか。否定しても「だったら誰がやったの？」「誰のなの？」と問い詰められる可能性があるわけですけど、「誰が当事者かわからないけど、否定はしておかないと後が困る」という場面ですね。もし、当事者や真実がわかっているなら、
Ａ：저 건물은 도서관입니까?(あの建物は、図書館ですか？)
Ｂ：아니요, 저 것은 문학부 건물입니다(いいえ、あれは文学部の建物です。)
ですから、「基礎から学ぶ韓国語講座初級第3課」のダイアローグのような会話は本来不自然なわけです。「아닙니다」の練習のためにわざとつくられた会話という印象を受けます。
＜もっと詳しく＞
さて、初対面の相手が「学生」であるかどうか確認したいとき、
（１）学生ですか？
（２）学生じゃありませんか？
（１）（２）どちらの表現を使いますか。初対面の人に、
학생이 아닙니까?（学生じゃありませんか？）
と質問すると不自然に映ります。なぜかを考えてい見ると、「학생이 아닙니까（学生じゃありませんか）」と 聞いてしまうと、「最初から学生じゃないことを期待している」ように見られる可能性があるからです。別に学生だろうと会社員だろうと、何をしている人か単純にしりたいならな、「学生ですか？」と聞けばいい。相じゃなくて「学生じゃありませんか？」と聞くと、「学生じゃありませんか？社会人にしては礼儀知らずだし、発言に責任がないし、社会人として認めないぞ絶対！」と 思っているようにもとられるし、「背丈はまだ中高生といったところだし、見た目が若いし、学生風の口調が抜けてないし、学生にしか見えない」という決めつけ ているようにとられてしまうかもしれません。
本人から「社会人です」という発言があって、「えっ、若く見えるけど本当に社会人なの？もう一度確認して置かないと気が済まない」という場合は、「学生じゃないんですか？」と質問してもなんら不自然じゃありません。つまるところ、「～ではありませんか？／～じゃありませんか？」という質問は、「再度確認しておきたい時」に使われる表現であって、新しいことを確認したいときには使われにくい特徴を持っています。
＜コンビニで＞
Ａ：더원 하나 주세요.(THE ONE(タバコの銘柄）一つください。)
Ｂ：학생이 아닙니까?(学生じゃありませんか？）
Ｂさんは「Ａさんが学生だ」という情報はＡさんから提供されて知っていますが、 それでも明らかに未成年っぽいので再度確認するために、「학생이 아닙니까?」と聞いています。
「基礎から学ぶ韓国語講座初級第3課」には、
ゆかり：이 건물은 도서관입니까?（この建物は図書館ですか。）
チョルス：아뇨, 이것은 도서관이 아닙니다.（いいえ、これは図書館じゃありません。）
ゆかり：저것도 도서관이 아닙니까?（あれも、図書館じゃないんですか。）
というセリフが出てきますが、ゆかりは、何の根拠もなしに「あれも図書館じゃないんでしょ」という前提のもとに「あれも、図書館じゃないんですか？」と質問しているようにみえます。「これも図書館じゃないんだったら、どうせあれも図書館じゃないんでしょ。何なんだこの建物は。図書館っぽくできてる建物ばっかりじゃないか。なんだこの学校は」とイラついているようにも感じます。挿絵の感じだと全く無関心なんですけどね。