F－６．「指定詞」を整理する。
＜これだけは＞指定詞とは
韓国語の教材に「指定詞」という言葉が出てきます。日本語の「～だ」「～である」にあたる、「-이다」のことを言います。
名詞について、
・ 학생이다（学生だ、学生である）
・학교이다（学校だ、学校である）
と、書き言葉で使われます。ただ、この「-이다」は「活用」して、
名詞＋입니다（～です）
名詞＋이에요（～です）
となって、「～だ」が丁寧な「～です」になったりします。
実はこの「指定詞」という呼び方は日本独特のもので、韓国の韓国語教育界では、活用するという観点から「이다動詞」と呼ばれています。
もし、「指定詞」「이다動詞」という呼び方の異なる説明のために混乱しそうであれば、「であるの이다」という呼び方で覚えてもいいかもしれません。
※韓国の「国語」の世界では叙述格助詞といって、「助詞」の部類にカテゴライズされていますが、ここでは詳しく論じません。
「であるの이다」は「活用」して、様々な語尾とくっつきます。丁寧な「です・ます」の語尾「ㅂ니다」とくっつけば、「-입니다」ですが、敬語の「-십니다」とくっつけば、「-이십니다」になります。「であるの이다」を動詞のように考えて、語尾「-다」をとって、「이」にして、様々な語尾をくっつけて活用させればいいのです。
| ㅂ니다（です） | 십니다（～でいらっしいます） | ㄹ 거예요（～でしょう）などの未来連体形 | 現在連体形(ㄴ) | |
| 이-다 | 입니다 | 이십니다 | 일 거예요 | 인 |
「학생이다（学生だ）」の活用
・丁寧な「です」：학생입니다（学生です）
・敬語：학생이십니다（学生でいらっしゃいます）
・推量：학생일 거예요（学生だと思います）
・連体形：학생인 우리 언니（学生であるうちの姉）
ただし名詞の最後にパッチムが「無い」場合、話し言葉では、語尾によって「이」が「省略」されることもあります。書き言葉、特に「한다体（である調）」では省略しない方が読みやすいため、作文では省略しないで書いた方がいいです。
・名詞の最後にパッチムが無くても「이」が「省略」できない場合
「입니다」
우리 아버지입니다.（うちの父です）
우리 어머니입니다.（うちの母です）
「ㄹ 거예요」などの未来連体形
저 사람이 누나일 거예요（あの人がお姉さんだと思いますよ）
저 사람이 오빠일 거예요（あの人がお兄さんだと思いますよ）
現在連体形
교사인 동생（教師である弟）
가수인 내 여자친구（歌手である私の彼女）
・名詞の最後にパッチムが無くて「이」が「省略」される場合
敬語の「십니다」「세요」
누구십니까(누구이십니까), 누구세요?(누구이세요?) ：どなたですか？
このように「이」は省略される。
「니까（だから」「지만（だけど）」などの接続語尾類
사이코니까(사이코이니까)：サイコパスだから
사이코지만(사이코이지만)：サイコパスだけど
＜さらに＞指定詞「이다」の해요体
「であるの이다」は活用するわけですが、「해요体」になるときは、かなり特殊です。
「이다」해요体
해요体というと、動詞、形容詞の場合、基本形から「-다」をとって、「아」か「어」を付けますが、「이다」はそうではありません。해요体の後ろにどんな語尾がくるかで、それぞれ異なった形をとります。
「～です」の「이에요」
柔らかい丁寧な「요（～です）」を付けた形にする場合は、「이다」から「다」を取って、「이」に요を付けるのは一緒ですが、
×학생이어요 にはならず、
〇학생이에요（学生です）になります。
「이」の後ろに「에」がつくというわけです。皆さん見慣れた「이에요」なので、このままの形で暗記していると思いますが、
「이다」の活用から見ると、このようになっているのです。
ただ、重要なことは、名詞がパッチムで終わっている場合、「이」が「에」の中に組み込まれてしまうということです。
「이」が「에」に組み込まれると言うことは、「イエ」という発音をを一文字で表す、つまり、「예」になるということです。
교사예요（教師です）
パッチムがあると「이에요」、パッチムが無いと「예요」と覚えているかもしれませんが、「예요」の中には「이」が含まれています。
これを元に戻して、書くときにあえて、「교사이에요」と書く必要はありません。話す時も、書くときも縮約の形で一般的に書きます。
ただし、「예요」の発音は、「에요」と発音しますので注意しましょう。「에요」と発音しますが、「이다」の活用であるため、「이」を
なくさず「예요」で表記します。
＜もっと詳しく＞ 이다の해요体のいろいろ
（１）「이다」の해요体＋서（～なので）の形
「～なので」を表す「서」ですが、動詞形容詞であれば、「아서」「어서」の形になります。「이다」もこの規則に則って、
학생이어서（学生なので）
교사이어서（教師なので）
という形にすることができます。名詞の後ろにパッチムが無い場合は、縮約して、
교사여서
という形にもできます。ただし、この形の他に、「라서」という形もよく用いられるので、こちらも覚えてください。
학생이라서
교사이라서
名詞の後ろにパッチムがない場合、「이」が省略できます。
교사라서
（２）「이다」の 해요体＋야 하다（～でなければならない）の形
「～なければいけない」が動詞・形容詞であれば、「아야 하다」「어야 하다」のどちらかを付けます。
「이다」の場合「서」と同じように「이어야」または、「여야」の形をとります。
학생이어야 합니다（学生でなければなりません）
교사이어야 합니다(교사여야 합니다) （教師でなければなりません）
この場合は、「라」を挿入できません。「名詞＋라」になる語尾は、「이다」の해요体すべてに適用できるわけではありません。