Ｃ－４６．［ソウル方言］ソウル方言の発音について整理する。
＜これだけは＞
以下の説明は、学術的な根拠に基づいていません。ただのイメージで解説している箇所もあるので、学術的な根拠を得たいという方は独自に調べてください。
ソウルの人と話をしていると、標準発音法とは違った発音で発音する人と出会うことがあります。書く場合には標準発音どおりの表記が正しいとされているので、韓国で生活している時は、どちらで発音していても良いと思いますが、書く時（特にTOPIK作文試験）には気を付けましょう。
＜間投詞「네」が「데」で発音される＞
| 標準発音 | ソウル方言 |
| 네（はい） | 데 |
※人体の構造上、鼻が詰まっていると、「ｎ」は「ｄ」で発音される。方言だからという理由だけではなく、慢性鼻炎や蓄膿症の人は「네」が「데」になりやすい（韓国は黄砂のせいで、慢性鼻炎の人も多い。）。ただ、「ｎ」が「ｄ」に入れ替わるのは、発音上よくあることで、日本語でも「内（ない）」を「境内（けいだい）」「お内裏様（だいりさま）」で発音するのは、「ｎ」が「ｄ」に入れ分かりやすいからである。
＜「ㅗ」が「ㅜ」で発音される＞
| 標準発音 | ソウル方言 |
| 그리고（そして） | 그리구 |
| 저하고 같이 가요（わたしと一緒に行きましょう） | 저하구 같이 가요. |
| 저도 그래요（わたしもそうですよ） | 저두 그래요. |
| 서로 | 서루 |
※この入れ替えは、比較的女性に多く見られる現象である。かわいらしさ（ぶりっこ）を演出する時にも多用される。
＜해요体の語尾「ㅏ」が「ㅓ」で発音される＞
| 標準発音 | ソウル方言 |
| 이것 받아（これ受け取って） | 이것 받어 |
| 이것 너무 짧아 | 이것 너무 짧어 |
| 괜찮아(大丈夫) | 괜찮어 |
| 여기 앉아（ここに座って） | 여기 앉어 |
| 너무 아파（めっちゃ痛い） | 너무 아퍼 |
| 바빠?（忙しい？） | 바뻐? |
※この入れ替えは、全ての動詞や形容詞に適用できるのではなく、入れ替えできるものは比較的よく使う単語に限られている。
＜해요体の語尾「ㅝ」が「ㅘ」で発音される＞
| 標準発音 | ソウル方言 |
| 고마워（ありがとう） | 고마와 |
※この入れ替えは、「고맙다（ありがたい）」以外に、あまりみられない。
＜해요体の語尾「ㅏ」が「ㅐ」で発音される＞
| 標準発音 | ソウル方言 |
| 좋아하는 것 같아요.（好きみたいですよ） | 좋앙하는 것 같애요. |
| 똑같아요.（まったく同じです） | 똑같애요. |
※むしろ、「같아요」をそのままで発音する人のほうが少ない？
＜「만날（毎日）」の「만（萬）」が「맨」で発音される＞
| 標準発音 | ソウル方言 |
| 만날（毎日） | 맨날 |
※「만날」という人は皆無。
※一番初めのという意味の「맨」とは違うので注意。「맨 앞（一番前）」「맨 처음（一番はじめ）」で使う「맨」は「맨」が正しい。
＜さらに＞
「ㄹ」を持つ語尾に接続する場合、「ㄹ」パッチムが必要なくても、「ㄹ」を挿入する傾向があります。
＜「ㄹ」パッチムが挿入されて発音される＞
| 標準発音 | ソウル方言 |
| 하려고 합니다.（しようと思っています） | 할려고 합니다. |
| 무엇을 보려고요?（何を見ようとしているんですか） | 무엇을 볼려고요? |
※書く時は、標準発音で書かないと減点対象になる。
語尾「요」を「여」で発音する傾向があります。
＜語尾「요」を「여」で発音する＞
| 標準発音 | ソウル方言 |
| 안녕하세요? | 안녕하세여? |
＜もっと詳しく＞
疑問の語尾「니?」を多用するのもソウル方言の特徴とされています
| 標準発音 | ソウルで多用される表現 |
| 오늘 뭐 해?（今日何するの？） | 오늘 뭐 하니? |
| 어디 가?（どこ行くの？） | 어디 가니? |
| 그래?（そう？） | 그러니? |
※この入れ替えは、比較的女性に多く見られる現象である。かわいらしさ（ぶりっこ）を演出する時にも多用される。
間違った縮約形
| 標準発音 | ソウルで多用される表現 |
| 도리어（むしろ） | 되려 正しくは、「도레」 |
| 그냥(ただ） | 걍 正しくは縮約しない。 |
※これは方言というよりも、新造語的な面があります。
発音以外にも、単語レベルで形が変わって使われる語があります。ネイティブが当たり前のように間違って使っているため、正しいかどうかを見極めるのが難しいですが、普段から単語帳でしっかり形と発音を覚えるように心がけていれば、見極め目ができるようになります。
| 標準的な語彙 | 間違って使われる語彙 |
| 가르치다（教える） | 가리키다 本来「가리키다」は、指摘する、ゆび指すという意味で使われますが、一部の人の間では、「教える」の意味で使われています。 さらにややこしいですが、「가리키다」を誤って「가르키다」という人もいるのですが、「教える」の意味で「가르키다」を使うことも標準の使い方からずれています。 |
| 싣고 가다(載せていく） | 실고 가다 載せる「싣다」は、「ㄷ変則」ではあるのですが、変則にならない環境「고」の前であっても、「실」に変えて発音する人が多いです。 |
| 주워 줘（拾ってよ） | 줏워 줘 拾う「줍다」は単語としては、「줍다」で認識されていますが、해요体になる場合、北朝鮮方言である、「줏다」で発音することが多いです。 |
※これはソウル方言の特徴というよりも、全国的な傾向に思われます。