Ｃ－４５．［アクセント］ソウル方言の基本アクセントについて整理する。

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Ｃ－４５．［アクセント］ソウル方言の基本アクセントについて整理する。

＜これだけは＞

　（１）「ㅅ」「ㅎ」、激音・濃音以外のアクセント

　　前田真彦（2013：129）「韓国語発音クリーニング」(白水社)を参考にすると、「ㅅ」「ㅎ」、激音・濃音以外の

「母音」または、「ㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅈ 」といった平音、「ㅁ, ㄴ」といった鼻音、流音「ㄹ」は、

　　・単語単独で発音する場合「高低」

高

　　低

연

락

連絡

高

　　低

김

치

キムチ

高

　　低

머

　　리

頭

高

　　低

라

　　면

ラーメン

　・助詞がついたり、文節として発話される場合「低高」

高

低

락이 요.

연 와

連絡が　来ます。

高

低

치를 　　어

김 　　먹 요.

キムチを　食べます。　

高

低

리가 파

머　　 아 요.

頭が　　痛いです。

高

低

면을 　　어

라　　　　먹 요.

ラーメンを　食べます。

となります。

　（２）「ㅅ」「ㅎ」、激音・濃音のアクセント

　前田真彦（2013：129）「韓国語発音クリーニング」(白水社)を参考にすると、「ㅅ」「ㅎ」、激音・濃音は、

　・単語単独で発音する場合「高低」

高

　　低

커

피

コーヒー

高

　　低

치

마

スカート

高

　　低

빨

　　리

早く

高

　　低

한

　　국

韓国

・助詞がついたり、文節として発話される場合「高高」

高高

커피를 　　 셔

　　 마 요.

コーヒーを　飲みます。

高高

치마를 　　어

　　입 요.

スカートを　はきます。

高高

빨리 　세

　　　오 요.

早く　来てください。

高高

한국에 　 요.

　　　가

韓国に　　行きます。

となります。

＜さらに＞

文章単位のアクセント

稲川右樹（2019：172）「ネイティブっぽい韓国語の発音」（HANA出版社）を見ると、「韓国語には、文節ごとに音が少しずつ下がっていくという特徴があります。」とあります。どういうことかというと、平音や母音で低く始まったとしても、第2文節以降はそれより高くならないということです。

第1文節　第2文節　　　第3文節

일 　　　　　　　　　　　　（１）第1文節は平音から始まるので、「低高」から始まり、

내 동에서　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（２）第2文節も同じく「低高」ですが、第1文節よりも低くなります。

명 쇼핑해　　　　　　　　　　　　　　　（３）第3文節は、激音なので「高高」から始まりますが、第1文節より低く発話されます。

요.

第1文節　第2文節　　　第3文節　第4文節　　　第5文節

는

저 본에서

일

온 마다라 합니

야 고 다.

第1文節　第2文節　　第3文節　第4文節　　第5文節

는

저 학교

에서 한국어 부하

를 공 고 있

어요.

＜もっと詳しく＞

「平音と激音の違いは高さにある」

長渡陽一（2009：26）「韓国語の発音と抑揚トレーニング」（アルク）には、次のような実験が紹介されています。

（１）文中に一部だけ平音と激音を変えた音声、

　　Ａ

게

이 디

다.

（これはDだ）

　　　Ｂ

게 티

이 다.

（これは埃だ）

　を録音しておきます。

(２)録音したものからㄷとㅌの高さを切り替えます。これを韓国人に聞かせ、「これはDだ」と「これは埃だ」のどちらの意味で聞こえるかを試します。

　　　Ａ

게 디

이

다.

（これはDだ）

　　　Ｂ

게

이 티

다.

（これは埃だ）

すると、次のような結果が出たそうです。

Ａを

디と認識した人　6％

티と認識した人　70％

띠と認識した人　24％

Ｂを

티と認識した人　19％

디と認識した人　81％

つまり、韓国人の80%近くが디と티を取り違えたということになります。このことから、平音と激音で大切なのは高さだということがわかります。

※実験の引用は、Mi-Ryong Kim et.al.(2002：30)「The contribution of consonantal and vocalic information to the perception of Korean initial stops」『Journal of Phonetics』から